▼『子玉』

（約三千字）

　主に短編として色んなジャンルを書いている色葉さんの作品です。

　春秋時代、楚（そ）の成王（せいおう）に仕えた成得臣（せいとくしん）（字（あざな）が子玉（しぎょく））を主役に置いた物語です。

　流浪する晋（しん）の公子・姫重耳（きちょうじ）の野心を見抜いて暗殺を進言し、のちに晋公となった姫重耳に対して君命に背いてまで祖国の為に戦いを挑んだ悲劇の将として後世に名が残っています。

　楚の成得臣の悲劇を描くという事は、転じて晋の姫重耳が覇者となる姿を映し出す事になり、中原の覇者として晋が君臨する事になる、ある意味では、ひとつの始まりの物語とも言えるでしょう。

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