暗鬼
「この2階におるのは ○○○○やで」
その言音は 冬の締め切った窓の隙間を
スルスルと すり抜け
躰を細長く変形して 毛布の隙間を通り
左耳の穴から体の中へと忍び込んだ
しばらくして それは窮屈そうに こめかみの血管の中から脳へと昇っていった
夜が終わるころ 磨硝子 @kankankankan96
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