「我らがご主人様、万歳」

花華

1

我々はご主人様の僕。


我々はご主人様の為に居る。


今日もご主人様の為に働いている。


例えこの身が裂こうともご主人様の為ならば何だってやってみせる。


仕事完了をしたらご主人様を見て癒されよう。


今日も仕事が忙しい。やっつけたり流したり出したり掃除したり勉強したり。やる事が沢山あって充実している。


「それらの仕事が全て終わったら、ご主人様の美しい容姿を見て癒されるんだ。あぁ、楽しみだなあ。」


ご主人様が偶に子守唄を歌いに、撫でに来てくれる事がある。

それが堪らなく楽しみなんだ。あのご主人様なら撫でられたり、子守唄を歌って貰えたり、絵本を読んでもらえたりして、良い夜の癒しの時間を過ごせる。子供っぽいけどそれが潜在意識を癒やされているので良いんだ。


「おーい。グー!何をそんなにニヤついてんだ?」


「あ、ゾン。いやさ、これから仕事が終わったらご主人様に癒して貰えるんだなあって。それが堪らなく楽しみなんだー。」


「あぁ!そういえば今日はお前がご主人様から癒やして貰える日なんだったな。いいなあー。ご主人様の癒し。」


「そうなんだよー。超嬉しくてさ。さあて仕事頑張るわ。」


「おう。頑張れ。」


今日の仕事は後はモノを運んで流して、受け取りものを受け取って、掃除をしたら終わりだ。やっつけるぜ。


「よし。もう直ぐ着くよな。持ってきたこれ、へへ。お届けをしてモノを受け取ってちょっと行った所を掃除したら終わりなんだ。そしたら楽しみが待っているぜ。へへ。」


そろそろだ。このドライブコースを少し左に曲がったら着く。


そう。ここをこう、クーッと左にゆるーく曲がってちょっと右にーまがったーらーー 


そうそうここだ。ここで真っ直ぐになるようにしてそのまま行くと


よっしゃ目的地。


「すみませーん!お届け物を上がりに参りましたー。」


「おや、いらっしゃい。グーさん、今日もお疲れ様だね。何か食べ物を持っていくかい?」


「あ!いいの?それなら貰っていきまーす。」


トマトや馬鈴薯やパックのピザやアイス、おにぎりやグラタンやらなんやらある。やばいね。美味そうが過ぎる。


「サンキューお兄さん!こんなに貰っちまっていいのか?何か、有難うな。」


「良いんだよ。グーは頑張ってるからね。偶には豪勢に食べなよ。」


「あー。その心遣い、感謝だわ。今日は何だか良い日だなあ。仕事は進むし、兄さんから食べ物は貰えるし、これからご主人様から癒しがあるし。」


「そうか。今日はご主人様は君のところに行くのだね。良かったね。沢山癒やされておいで。良いなあ。」


「あぁ。癒やされます。ご主人様は日々、色んな人の所へ行くけど今日は俺のところ。」


「ほええ。楽しみだねえ。それじゃあ、残りのお仕事を頑張ってすぐに終わらせてね。」


「おう。直ぐに終わらせます。それじゃあ、また。ありがとうっした。」


「またね。いや。まってよグー。受け取り物を忘れているよ。楽しい話をしていたら忘れるよね。」


「あ!すみませんでした。つい話が楽し過ぎて忘れていましたね。よいしょ。じゃあ、あざっした。」


「うん。気を付けるんだよ。お仕事はミスをしてはいけないからね。」


「そうなんすよね 怖い でも何だか安心感もある。」


「ご主人様は優しいからねえ。」


「そうなんすよなあ 申し訳ない。ご主人様、好きだから主様の為に。」


「そう思うのはいい事だけどね。じゃあ、残りのお仕事を頑張ってね。」


「心配はないですよ。」


へへ。楽しみだなあ。よし。こうやって後ろに食べ物を置いて、行くか。


こうやってこうやって、こうやって。よし。走れるな。


ようし。このままあの場所へ。ここから割と近いのがいいかな。


にしても暗くなったようだな。兄さんとの話が楽しかったからな。時間を忘れるよな。何だか少し眠くなってきたな。あぁ、これはいい感じの夜を主人様と過ごせそうだなあ。


ご主人様のあの美貌、良いよなあ。すごーく背が大っきくて、体の横幅自体も大っきくて、顔の造りも綺麗で、髪の毛もすごーくキラキラで妖艶で綺麗で、ああ。同じ男だけど見惚れるのさ。楽しみだなー、ご主人様とのお話。


もう直ぐ。目的地。


ここをこう、曲がって、ここをこう.... そうだ。これでいい。そうしてこの道を進んでいったら。はい。


到着。


うおお、今日も何だかいっぱいあるな。流石ご主人様ですな。お色気がムンムンなあのフェロモンを出すにはこうするべきなのかなあ?よし。やるか。


ここをこう、こう、こう、して


ここをこう、こう、こう。


うむ。こう、こう、こう、して


ここをこう、こう、こう、だ。


こう、こう、こう...........


よし。完成だ。綺麗になった。とてもよい出来だと思うなあ。これでまた使えますね。ご主人様。ふふ。どうぞ、ご自由に。ご主人様。


今日は気分が舞っていたからなおさらいい感じの出来ですわ。みんなも嬉しいだろうなあ。


それじゃあ、俺はこれから帰ってご主人様を迎え入れる準備をするかな。


楽しみだな。どんな本を読んでもらおうかな。何か気持ちのいいことをしてもらおうかな。悩みも話していいんだ。美人になる方法も。ご主人様、性格が天使すよ。かっこいいけど、それらを鎌にして上から目線で何かをするということはないんだ。優しくて、俺たちに対して優しくしてくれる。主様だからって上から目線、ない方なんだ。そういう所を尊敬している。へへ。


あ。ここは家が近くかな?


そうだね。ここは家が近い道。ここまで帰ってきていたかあ。そうかあ。楽しみだなあ。


ここまできたら。


あ。お家だ。わがお家。


何だか暖かく見えるな。わが家が。


今は季節は冬だけど、ご主人様が暖かくしているから俺たちもそんなに寒くはないが、雰囲気的には寒い感じだから、やはり家が暖かく見えるのはいいなあ。


ふふ。笑顔になるなあ。ドアを開けて。お風呂入って。ご飯食べて。そろそろ寝ようとして寝室に入る。


そこで祝詞を唱える。


「ご主人様。今日も仕事が終わりました。ご主人様は、今日は、如何でしたか?」


すると空中に空間が現れて、主様の美しいお顔が現れた。笑顔だ。綺麗。


主様「こんばんは。グー。今日もよく頑張ったね。」


「あぁ、ご主人様。僕はこの時をとても待ち侘びていました。」


主様「うん。私も会えて嬉しいよ。今日はさ、私の寝室で一緒に過ごそうではないか。そこでなら沢山のおもてなしをしてあげられるよ。」


ご主人様のお部屋で?まじか


「行きます。ぜひ。」


主様「それじゃあ、おいで。」


主様は手を穴から差し出した。俺はその手を迷わずとった。すると俺の体が宙に浮いて穴の中に入って、ご主人様のお部屋の中に入った。


まじだ。ご主人様のお部屋だ。まじ。


やっぱ自分らとは違う部屋の雰囲気だなあ。やばす。


主様「夜のご飯は食べたかい?」


「はい。食べましたね。さっき。」


主様「お粗末さまでした。じゃあ、さらに何かを食べてみないかい?」


「何かを?さらに。」


そういえば主様の食されているものってどんなんなんだろう。


主様「僕が何かを作ってくるね。」


ご主人様の作る料理かあ。楽しみだな。どんなのなんだろう。美味いってよく聞くよな----


超美味いキッシュとか?しっかりした味の味噌汁とか?塩味のいいポトフとか?何だろうなー。


ちょっと覗いてみようかなあ。

国王様どの方向に行ったかな。こっちだったかな。あ、ここはご主人様の住処だから広すぎて分からないや。大人しく部屋で待ってるか。


にしても、綺麗な部屋だなあ。全てのものが整頓されているし、綺麗になっている。それで、どれがどういうものなのか分からない。ご主人様は謎だなあ。これらはどういうものなんだろう。


読み物がある。どれ。内緒で読んじゃってもいいのかなあ。


----我が愛しい嫁、花華----


花華....?


そういえば、ご主人様はよくハナカという名前を我が嫁だという言葉と一緒に言っていたなあ。こちらの読み物はご主人様の愛の詩かな?そういえばご主人様の愛しな方って何だか気になる。見てみるかなあ?


----花華さん。私は貴方を愛している。君のことを考えるととても心が穏やかになるよ。恵まれた気持ちになる。私は君の世界へ行き、君と出会って本当によかったと思っているよ。君のその世界での生涯最後まで見届けるね。こちらの世界に来たら、結婚をしようね。----


うおお。立派な愛の詩だ。ご主人様の愛はやはり深いなあ。花華さんってどんな方なのだろう。ご主人様が余程愛する女性、気になるな。


主様「それは俺が愛する女性さんだよ。」


「ふああっ?!ご主人様。いつの間に」


主様「すこしさっきにご飯を持ってきたよ。食べるかい?」


「有難うございます。いただきます!勝手に覗いてしまって御免なさい。」


主様「いいんだよ。それは俺の愛人に対する気持ちの言葉だ。」


「とてもお好きなのですね、花華さんという方。.....うおお!めっちゃ美味しそうじゃあないですか!」


スパゲティ、牛肉と野菜のクリームシチュー、果物ヨーグルト、ポテトフライ、おにぎり.... 想像以上だった。


主様「そうだよ。花華。俺の愛しの女性。沢山お食べ。」


めっちゃ美味い。これは食べる方は幸せ者だ。口の中がとろけそう。


主様「愛しの花華はな、俺が外で見ている世界の住人では無いんだ。今の所はな。」


「今のところは?見ている世界の住人では無いって、ニホンやトウキョウの住人では無いってことでしょうか?」


主様「そのとうりだ。その世界ではない、別の世界の住人だ。その世界はニホンやトウキョウという場所は同じくあるのだがな、世界自体が異なるんだ。」


「つまり、同じ世界なようで異世界、ということでしょうかね?」


主様「そういうことだ。そして、俺たちがこの世界の住人が花華の世界は行くことは許されていない。生まれた世界が違うからだ。しかし完全にそうという訳でも無い。」


「完全にそうという訳でも無い?」


主様「ああ。その世界での肉体を持つことは出来ないに近いが、魂だけの不可視状態としてなら可能だ。更に説明すると、俺たちが花華の元には行けるんだ。そして俺たちの肉体は花華であれば触れる。しかし花華以外のその世界の住人には不可能だ。触れない。」


「ほええ。ちなみになのですが何故、花華さんには触れるのですか?あっもしかして。」


主様「そうだ。花華は俺の私の嫁だからだ。その世界での生涯を終えたらこちらの世界に自然と移ることになっている。」


「なるほどですね。花華さんがあちらの世界にいる理由とは何でしょうね。こちらの世界に来るとご主人様とラブラブになれるのに。」


主様「それはな。その世界は精神の試練に適しているからだ。私の嫁になるのであれば、それ相応の高尚な精神を保持していなければならない。」


「なるほど。たしかにご主人様は高尚であられる。」


主様「そうだ。私の様に高尚な女こそが私の嫁として相応しい。.......グー、溢れているぞ。」


「あ!失礼しました。ご主人様のお部屋を」


主様「いいんだよ。話を聞いてくれてありがとうな。」


ご主人様の愛しの女性か。何だか放心するなあ。あのご主人様がそもそも女性に対して惚れるということ自体が無いからなあ。珍しい。


主様「フッ。グー、大分考え込んでいるようだね。私の愛しの女性が気になるか?」


「気になりますね。強くて強くて強くてスーパーイケメンで大っきくてクールなご主人様が愛する女性だなんて」


主様「なるほどな。後程に教えるよ。今日はこれから一緒にねんねをしようじゃないか。その際に何か要望はあるか?」


「早く知りたい様な気もしますが、ご主人様と一緒のおねんね楽しみっす!絵本を読んでいただきたいのですよー。」


主様「絵本?いいぞ。読むね。他にはなにかないかい?」


「ご主人様になでなでされたいです!」


主様「なでなでだね。いいよ。なでるね。他にあるかい?」


「どうやったらそんなにかっこよくなれるんでしょうか?教えてください!」


主様「それは生きることを楽しむことだねえ。」


「生きるのを楽しむ?」


主様「ああ。そうさ。生きるのってなかなか色々あって大変だよね?そういう困難を乗り越えて楽しむことこそがかっこいいことなんだと思うよ。」


「うほっ。言われてみれば確かにっ。じゃあ俺、生きます。どんな困難にも負けずに生きて、ご主人様に尽くします!」


主様「ああ。それでいいんだよ。」


「ではご主人様、これからご主人様のお部屋のベッドで一緒におねんねをして、なでなでをしてくださいませ。」


主様「あぁ。いいね。」


うおっ。とてもふかふかのベッド。さすが主様の寝ておられるベッド。気持ちいい。ベッドの質も違う。


主様「ふかふかでしょ?いいよね。」


「とても心地の良いベッドすねえ。」


主様「でしょ?ふわふわしていて気持ちいいよ。ここで寝てね。」


リラックスできる気持ちになった。後はご主人様もベッドに入られてくれればなでなでしてもらえる中、心地よく夢の中へ。


あ、主様が入られるとやはり暖かいなあ。この冬によく効く。いい感じだなー。何となく、眠くなりそう。なでなでをしてもらおう。


「ご主人様、なでなでして下さいませ。」


主様「いい子だね。ようしようし。」


あー、気持ちいい。この、主人様のすごくモリモリな身体とイケボがもう、天国。いいなあ。俺もそうなりたいけどな。


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「....寝たか。お休み。グー。」


「さて、グーを寝かせたところで俺はそろそろあの子から受け取っていた連絡に答える。」


そう言ってその美青年は部屋を出た。


「スバル。そちらの女性をこちらへ。事情は理解している。」


スバル「ははっ。さあ、この方が国王様だ。歩いて。貴方は地獄へ堕ちるべきでは無かった。」


女性「ア....ア......アゲ..コ コクオウ サマ?」


「そうだ。私が国王、仟夛朗だ。貴方は冤罪だ。これから貴方を助ける。安心しなさい。」


女性「ア...ア.... ハ ハルキ ワ.」


「その者は少し前に成仏をしたよ。無念を晴らした様だ。良かったことだよ。」


女性「アアァァアァア!」


「フッ。良いことさ。貴方も嬉しい筈だ。今から彼と同じ天国へ行くかそれともそれまで安堵をしてから自分の居心地の良い天国へ行くか、貴方の好きな道を選ばせる。」


女性「フフ...フフ、フフ... 仟夛朗様、有難うございます。私に沢山の自由を下さいまして...。」


「貴方は良い方です。今はあの場で焼かれ、煮られ、お疲れでしょう。お休みになられて下さいませ。」


女性「なんて素敵な心遣いなのでしょう。はい。」


「好きなだけゆっくりされて下さいね、相馬霞蓮さん。そしてこれはどうでもいいことですが、私もいつかは嫁を貴方の様に俺の元に居座らせるのが目的です。」


霞蓮「まあ!素敵ですね!それはお嫁さんもきっとわお喜ばれになりますわ...。」

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