第13話 卒業式の賞状授与かよっ!?
「お一人ずつ壇上の中央に立って、神託を受けて頂きますので、皆様順番に並んで下さい」
クロエは淡々と説明を進め、冒険者たちは言われた通り、列に並び始めた。
「神託を受けられると、ご自身の現在のステータスや固有スキル等が空中に表示されます。表示内容をよくご確認頂いたあと、次の方と代わってください。」
弦人も列に並ぼうとしたが、先程の男に後襟を掴まれる。
「てめーは一番最後だ! どうせショボいステータスしかでねーんだからな!」
そう言われて、最後尾の方に追いやられる。
弦人は仕方なく最後尾に並んだ。
そして、最初の一人が壇上に上がった。
一人目は弓を携えた男だった。
おそらく弓使いなのだろう。
その弓使いの男が壇の中央に立ち、しばらくすると、天井から逆さにそびえ立つ結晶が光だした。
そして、どこからともなく声が聞こえた。
『勇者、ノモト・シュンタロウよ。汝に魔王イン・ディビュア討伐の命を与える。使命を全うするべく、研鑽に励むがよい』
声はまるで頭の中に直接響いてくるようだった。
おそらくこれが彼らを元の世界から召喚した神々のうちの誰かの声なのだろう。
そして、神託の声が終わると同時に、結晶が一際強く輝き、空中に光る文字でステータスが大きく表示される。
ノモト・シュンタロウ
レベル:6
クラス:弓術士
HP:52
MP:11
SP:43
攻撃力:51
守備力:32
命中力:44
回避力:65
・
・
・
その他、表示項目の総数は30前後あった。
弓使いの男は、まあ、こんなものかという表情で壇上から降りた。
次に壇上に上がったのは斧を携えた大柄の男だった。
同じように壇上の中央に立つと、同じように結晶が光った。
『勇者、マルカワ・ソウイチよ。以下同文』
弦人は盛大にずっこけた。
「イヤ、卒業式ノ賞状授与カヨッ!?」
事務的な省略で、厳かな儀式の雰囲気がぶち壊しになったことに、弦人は力の限りつっこんだ。
しかし、周りの者たちはまったく騒々しいヤツだなという雰囲気で、気にも留めていない。
おそらく弦人以外はどういう手順で神託が進んでいくのが事前に知っているのだろう。
お前ら、それでいいのかよ......
弦人はそんな周りの雰囲気に一人不満げであった。
この世界の神々なんか、胡散くさいなー......
そう思いながら弦人は気を取り直して、表示されるステータスに注目した。
やっぱ、RPGのステータスに近いな......
そうこうしているうちに、数人の神託が終わった。
だいたいみんなレベル6前後だなー......
さっきの話だと、今日ここに来ている者は、皆半年前に召喚されているということだった。
とすると、一月レベル1くらい上がるのが相場ってことか......
弦人が熟考して、壇上から注意がそれていたそのとき、一同から「おーっ」と感嘆の声が上がった。
弦人が壇上に注意を戻すと、先程弦人に絡んできた騎士風の大男が立っていた。
表示されたステータスを見るとレベル9と表示されており、諸々のステータスも他の者たちより頭ひとつ抜けていた。
男は満足気に壇を降りた。
げっ、アイツ強かったのかよ......
弦人は、どうせ見かけ倒しのイキリやろーだろうと高をくくっていたので、あてが外れて少しがっかりした。
そして、次に壇上に上がったのは、宮平七瀬だった。
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