女帝の13番目の夫
いまノチ
女帝の13番目の夫
「要らぬなら、我が貰おう!」
会場に響く、凛とした声音。
赤い軍服の女は、手を差し出す。
「カルル・ドロイス・ジャンバルグ!貴様を我が13番目の夫としよう!」
今年40となる帝国の女皇帝。
12人もの夫を持つ彼女は、男尊女卑が未だに根付くこの国では異端であり、男好きの尻軽年増などと王侯貴族の中では陰口を叩かれている。面と向かっては言えないし、今回の来訪により、若々しく美しいその姿をはじめて目の当たりにして見惚れてしまって、そんな侮蔑は彼方へ行った。
だが、女帝が夫として手を差し出したのは、15歳の、この国の第一王子で・・・
王は、貴族は、大笑いした。
嘲笑だった。
それは、自分よりも20以上も年下の少年を夫とするなどと言う男好きの女帝へのものと―――
大国の第一王子でありながら、夫という名の数いる妾の一人と求められている憐れな存在への。
「ははは!どうぞどうぞ!ご自由になさってください!不出来な存在ですが、顔は整ってますのでな!」
王の言葉に、会場中がどっと沸く。
女帝はそんな者達を無視し、真っ直ぐ少年を見据えた。
少年も、女帝を真っ直ぐ見詰め、そして、彼女の手を取った。
その時の少年の顔を見たのは、女帝だけ。
「と、いうわけで13番目の夫となったカルルだ。みんなせいぜい可愛がってやれ」
帰国して早々、己の後宮へと現れた女主は、ニヤリと笑って己の
12人の男達と、その配下は御意と返答する。
男達の視線は、13番目などと言われながらも、この中で最も高貴なる血筋である少年に向けられる。
大聖女である母の命を奪って産まれた事から、祖国で虐げられてきた古き大国の第一王子。
女帝の夫としては、最年少となる。
これから始まるのは、女帝の寵愛をかけた男達の戦い――――
ではなく。
「アルドルフ!」
「エルカ!」
女帝の4番目夫と抱き合う少年。
それを微笑ましく見ている女帝や、他の夫達。
少年の祖国は知らない。
かつて大聖女と呼ばれ、自分達がこきつかい、無理矢理王子(現王)に嫁がされて、更にこきつかわれて、疲弊し体力もないまま子供を出産したことで命を落とした女性。
彼女が死ぬ瞬間に産まれた子供に転生していた事を。
愛した妻を殺したと父王から憎まれ、大聖女様を殺したと国民に恨まれ、虐げられてきた子供は、大聖女の記憶と力を持ったまま、国を見定めていた事を、知らない。
大聖女と呼ばれた頃、親交があった帝国の女帝と密かに連絡を取り、彼女の夫として匿われていたかつての恋人と再会出来たことを、知らない。
大聖女の力を隠れながら使っていた第一王子が、祖国を見限り他国へ行ったことにより国の崩壊が始まったことなど、まだ、知らない。
――――――
最初は、祖国で虐げられてきた王子が、かなり年上の女帝の30番目ぐらいの妾として連れてこられて始まる男女逆転大奥みたいな、男の後宮的話を書こうとしてた。女帝との歳の差恋愛を考えてもいた。
けど、何か転生もののBLになった。ふっしぎー(根っからの腐女子)
赤ちゃんは元々死産だったのか、何なのかは謎。
ちょっと聖女追放ざまぁに近い感じ。
追放ざまぁで国に被害がいく場合一般の国民が可哀想ってなるけど、この話の国は一般国民も古い大国という事で他国を見下して腐ってたし、大聖女を仕事が遅いとかグチグチ文句を言っていた。一応善良な人間は助かる様にしてた、という設定デス
最後までお読みいただき有り難うございました。
女帝の13番目の夫 いまノチ @oujisyujinkou
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