しのげぇむ
紗音。
壱.ルール説明
「ようこそ、しのげぇむの世界へ」
機械音が鳴り響く。どこかの個室だろうか。音が反響している。
「参加してくれた君達には、これからゲームをしてもらう。ルールは簡単。私が君達の前にお題が書かれた紙を置いた。お互いのお題については誰もわからない。私が指名した者はお題について例え話をして、他の者に当ててもらう」
目の前にお題の紙があるようだが、真っ暗で何も見えない。
「お題は『し』のつく言葉だ。直接お題を言ったり、例え話以外の表現をした場合はペナルティを与える。さぁ、君達の視界ジャックを外す。ゆっくりとお互いを見たまえ」
そう言うと、突如として目の前が明るくなった。目の前には円卓があり、四人誰かがいる。俺たちはどうやら円卓に座らされていたようだ。
「匿名が好きな君たちのために、それぞれ色のついたお面をさせた。赤、青、黄、紫、黒のお面だ。目の前にいない色が君の色だ。名前の代わりに色で指名させてもらう」
俺の目の前には、青と黄と紫と黒のお面が見える。つまり、俺は赤色のお面をしているのだとわかった。
『しのげぇむ』とは、過激な動画や不思議な話など、常人は見ない、見れない情報がたくさんある闇サイトだ。その中で、『しのげぇむ』体験の応募をするページがあった。俺はそれに応募をしたのだが、気づいたらここにいたのだ。もしかしたらこういう夢なのかもしれない。
「さて、まずは自分の目の前にあるお題を誰にも見えないように気を付けて確認してくれ」
促されて、俺は目の前のお題を誰にも見えないようめくった。円卓といえど、距離があるので、視力が野生児並みになければ見えないと思う。
俺のお題は、『爆死』だ。俺はこのサイトで戦争や暴動の動画を見ることが多かった。その中でもよく見ていたのが爆発に巻き込まれてバラバラに飛び散った肉片を集める動画だ。非日常的な出来事だから、そんな世界に興味があったのだ。夢だから良いが、もし人に知られたら危険人物として警戒されてしまう。別にそう言う狂気じみたことは好きではない。だが、現実から逃げるには非現実へ飛び込むしか無かったのだ。
他のヤツらはどんなお題を出されたのか気になったが、お面のせいで表情は見えない上に、誰も話さないので何もわからないのだ。
「お題の紙をもとの位置に戻したまえ」
そう言われて、一斉に元の位置に戻した。静まり返る部屋で機械音が鳴り響く。
「さぁ、ゲームを始めよう」
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