加藤さんは、恋愛が嫌いだ。

キコリ

俺 side.

第1話


「新城くん…私、恋愛無理なので。お断りします。」




「………は?」




俺は、今まさに目の前で起きた出来事に、目を丸くした。

「だから。私は恋愛無理だし嫌いなの。」

目の前にいる、俺の片思い中の相手は、冷淡な口調でそう言ってきた。

「え、か、加藤さん」

「それじゃ…また。」

「あ…!」

俺は瞬時に手を伸ばした…が、その手は空を掴み、相手は二人きりになった講義室から颯爽と姿を消した。


そんな何も掴めなかった右手を、俺はただ見つめることしかできなかった。








俺―――新城竜也(しんじょう りゅうや)。19歳、大学生。


俺は初めて人を好きになり、そして今、人生で初めて振られた。

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