音をたたて散る

むふるん

序章

 死について考えるといつも不安が心を支配する。今まで自分がお世話になった友人、師、家族を残してどこかに行くのは少し気が引ける。一般的にこのような考えを持っている人が大半だろう。しかし、死というものから逃れられた人間を私は知らない。必ず向こうからやってくるなら、こちらから迎えに行こう。とはいえ、自殺を勧めているのではない。捨て身と自爆は違う。しかし、どちらにも共通するのは、社会、自分を取りまく環境を変えようとしていることだ。もし我々が生まれてきたこと自体に意味がなかったとしても、自分の死に意味を乗せることはできる。何もせずに死から目を背けることだけが、死を受け入れられないもの、恐れおののくものへと変えてしまう。かつて多くの特攻兵を出した時には考えられないくらい平和な国で無駄に命を削りゆく日々が続く。どちらが良いかは誰にも判断できない。しかし、心を動かされる話は過去のほうが多いのではなかろうか。現代においても、このつまらない日々を死ぬ気で生きてみたいものである。

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