美少女と俺

尊(みこと)

第1話

とある日の朝。

「いってきま~す」

俺は家を出た。

「学校めんどくせー。できれば行きたくないわ」

なんて思いながら今日も学校に向かう。

「え?… 何あの美少女… うちの制服だし…」

「えっと、こっちかな?…」

同じ学校の制服を着た見覚えのない美少女がそう呟いた。

「うわー、あの子転入生じゃん。場所迷ってるし。でも、俺が話しかけたら…








「なんでお前がこんな子といるの?」

「勝手に美少女捕まえんなよ」

「キモ、 みんな!こいつが連れてきた!」

「キャ~、キモーイ!」

「キャ~!」








なんてことになるし、この子はなんか方向音痴とかじゃなさそうだからいいか…、」

そして俺はその子の事を軽く心配しながらその子の後ろから学校へ向かった。

そして学校へついた。すると…



「キャ~!美少女!かわいい!!!」

「え?!なに?!芸能人?!」

「うちの制服着てるー!!」

「やばー!!可愛すぎ!仲良くしてね!!」



と、みんながその子の周りに集まる。

「うい!陰キャ!お前はこの子と縁はないな、www」

「おもしろーい!ww」

「ww」


そんな声が聞こえた気がする。でも俺は無視を続ける。

「こいつらに構ってもなにもない。とりあえず逃げるよう。」

その一心で。


そして教室につくと、一軍女子のリーダー枠、森野灯もりのあかりがあの子に話しかける。

「ねぇ!名前は?!」

「私は林道飛光りんどうあすみ

「へー、あすみちゃんねー… あっちゃんとか?すみちゃんでも可愛いかも!」

「さすが灯!それっぽい!」

「でしょー!じゃあ… あっちゃん!」

「あっちゃん!よろしく!」

「あ、うん!」



「あのさ、いきなりだけど気になる奴とかいないの?」

「…一応1人、」

「えー?!まじか、だれ?!」

「えっと、…」

「教えてよー!」

女子の盛り上がった声の中、先生の声が話を切った。

「はい、すわって。今日転入してきた林道飛光ちゃんです。仲良くしてあげて。」

「よ、よろしくおねがいします!」

「じゃあ最近席替えしてなかったし飛光ちゃん来たから席替えするか!」

「せんせ~いきなりすぎー!」

「はーい、じゃあ並んでくじ引いてねー、」


そして、なんやかんやでみんな席のくじを引き終わった。

そして、俺の席は窓際の後ろ。もうそれは自由フリーダム


「はーい、じゃあ移動してー、」


「後ろの席となると隣を気にする必要もほぼない、仲良しごっこもしなくていい。」

「あ、朝の人!」

「え?…」

そう。俺の隣は林道飛光だった。

もちろん陽キャヤンキー達の目は俺の方に向く。何かあったら殺られる…


「おい!緑川く〜ん!朝の人って何…?」

「朝登校中に後ろにいただけ…」

「後ろにいただけ、へぇー、どういうことがわかってんのか?」

林道飛光の可愛さもあって俺の方にはたくさんの拳が向かう。

「ほら!喧嘩しないの!」

うちのクラスの担任は元ヤンで元女番長。みんな担任におびえたりするほど強い。

「ういー、わかりましたー、」

なんて、口先だけで休み時間はストレス発散道具。でも、いつも通りすぎて慣れた。






「で、この人は死んだ。だからこの人が…」

担任は指差しで教えてくる。

そして何となく感じる隣からの視線。それは満面の笑みで見てくる林道飛光だった。俺はみんなからのことが怖くて隣は見られなかった。

「はいじゃあ授業終わりまーすお疲れ様でーす」

そうして何時間かの授業が終わり、昼ご飯、そして昼休み。

俺は仲の良いやつと通話をしながらご飯を食べる。

「うぃー、」

「うぃー、今日なんか変わったことあった?」

「あぁー、転入生が来て、めっちゃ美少女」

「まじかよ」

「林道飛光っていうらしい。できるんなら付き合いたいわ」

そう話していた。すると

「いいよ!」

「え?… え?」

「飛光だよ!実はさ、君のこと気になってて、緑川くんだっけ?なんか気が合う気がするんだよねー」

「え?…」

頭が止まる。よく考えるとあいつには申し訳ないが、通話を切った。

「こんな美少女が俺と付き合う?どういうことだ?こんな俺なのに、今の所3回告って全敗、なのに、告ってもないのに、付き合うって…」



「でさー、って、聞いてる?」

「あ、いや、ごめん。」

「緑川くん、下の名前は?」

かなでだよ」

「へー、奏くんか、よろしくね!」

「え?んで、付き合うって嘘だよね?」

「え?ホントだけど。奏くんが付き合いたいって言ってるし私も奏くんのこと気になってたし!丁度いい機会だし!ね!」

「あ、うん、え?よろしく?彼女?」

「なんで疑問形なのw うん。よろしく!」

「あ、うん。て、ゆうか、なんで俺が付き合えたんだ?いいのか?まぁたあいつらに殺られるだろ。やだよー。」

そう思った。

「ねぇ?大丈夫?不安そうな顔してるけど」

「あ、うん、多分。」

「何かあったら言ってね、私達カップルなんだから! あと、必ず守るから奏のこと。」








その時、どこか飛光の強さとかっこよさが見えた気がした。

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