艦が沈没しました

もも吉

一匹との出会い

第1話 種族の血脈


 遠い昔、ある厳しい環境の惑星に、偶然生まれた生物が吸血鬼。

 最初の種は、脆弱な定まった形を持たない微生物のような小さな生物であった。

 進化は彼らに大きな変化をもたらした。



 大抵の吸血鬼は強大な生命力を内包して生まれてくる。

 膨大なエネルギーを内包している事と、不定形な生物ということがあったので、自由な進化を可能にしていた。

 そして、一部の種族は強大な生命力は進化の力となった。

 彼らは、他の生物よりも早く成長し、他の生物を圧倒して増え続ける。

 そして、生物の頂点へとなっていった。


 しかし、この惑星はその頂点である生物をも簡単には生かしておかなかった。

 災害による地上の破壊、隕石の衝突、ウイルスによる種の崩壊。

 そこは、決して、生命にとって優しい世界ではなかった。

 圧倒的で容赦のないこの惑星の気まぐれは、幾度となく彼らの生命を脅かしてきた。


「吸血鬼は誰しも、この惑星の気まぐれによって、いつか滅びる運命にある。」

 いつしか、彼らの中にこの惑星への恐怖が芽生えて行った。



 絶滅寸前に、少数の種族が種類が環境に適応し、その惑星が一定の環境に戻るとまた進化する。

 そうやって、次第に厳しい環境を克服していった。

 時を経て、吸血鬼は科学技術も少しづつ発展させて行き、ついには、その惑星から広大な宙へ出る機会を得る。


 最初はやっと星系の外へ飛ばせるだけの技術ではあったが、強力な生命力を持つ吸血鬼にとっては十分であった。

 宇宙の厳しい環境は、初めこそ彼らに厳しいものであったが、真空も恒星の放つ強力な放射能にもすぐに適応した。


 そして航行する技術を学んでいった彼らは、ついにその惑星から広大な宙へ旅立つことになった。

 船は多方向へと散っていったが、どれだけの数が移住できただろうか。

 厳しい環境に慣れた彼ら出であっても、そうそう生かしてくれる環境はありはしなかった。

 だが、運よくたどり着いた先で生き残った者もいたに違いない。一部の者は、またそこで頂点として繁栄したことだろう。


 私は、母星から出る事無く、厳しい環境を生きた種族の一人である。


 1500年前、旅立った子孫の者が、母星を侵略するために戻ってきた。

 彼らは、戦いに慣れた、強力な力を持つ種族であった私たち祖先たちを、強力な化学技術の力で滅ぼした。

 彼らは全てを吸収し祖先の力を手に入れて、さらに強力な種族へと進化する。

 祖先の種族の生き残りを賭けた戦いは激しく、母星を枯渇させ、放射能によって生命の住める星ではなくなった。

 そして、母星への別れは、私を戦奴隷として宇宙へと連れて行った。

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