価値の本質に気づいたからプロ奢られヤーを擁護してみた

大天使 翔

価値の本質に気づいたからプロ奢られヤーを擁護してみた

 価値の本質とは何でしょうか?


 かなり曖昧な問いですが、私は一つの答えを導き出しました。


 それは、「評価」です。


 そもそも私が価値について考えるようになったのは、プロ奢られヤーさんの話を聞いた時からでした。


 彼は人から奢られることで生きている人です。


 日本人の感覚からしたら、「何の労働もしていないのに食べているとは何ごとか」と非難されそうですが、本当に彼は労働をしていないのでしょうか?


 彼は取材の中で、「江戸時代では肥料としてう○こに値段がついていた」と言いました。


 そして、「自分が持っているゴミを売ることができれば、手っ取り早く稼げるんじゃね?」と言っています。


 少々違うかもしれませんが、こんなことを言っていました。


 つまり、プロ奢さんは、「奢ってくれる人の話を聞く」という自分の中のゴミ(あまりストレスにならないもの)を支払っている代わりに、「食べ物」を相手から支払われているわけです。


 一見何の価値も生み出していないように見えますが、実は「話を聞く」ことが価値になっているのです。


 別に彼は、相手を脅して奢ってもらっているわけではありません。きちんと、対価を支払っているわけです。


 普段、私達はう○こを便所に垂れ流しているだけで、う○こには何の価値もないと思っています。


 しかし、江戸時代にはう○こに値段がついていました。う○こをするだけで金を稼げていたんです。


 つまり、私が言いたいのは、価値とは絶対的なものではないということ。様々な時代や環境において代わり得る、物への「評価」なのです。


 みなさんがイメージする価値の代表例としては、「貨幣」があると思います。


 一万円札自体の価値は、闇金ウシジマくんによると、28円だそうです。なのに、人々はその紙切れに一万円の価値があると信じ込んでいる。


 もっと言うと、「評価」している。それは、私達の身近な現象の中にあります。


 普段私達が物を売ったり買ったりできるのも、個人の「評価」にばらつきがあるから。


 コンビニで100円で売っているお菓子があるとしましょう。


 買う側としては、そのお菓子は100円出すだけの価値がある。100円を払えば、払った分以上の「美味しさ」という利益が見込めると「評価」している。


 一方で、売る側はお菓子を作るコストを勘案して、利益が出るように100円に設定しているわけです。


 実体としてのお菓子は、それ以上でもそれ以下でもない、ただのお菓子です。そこに価値はない。しかし、人間が「評価」をすることによって、「価値」が発生します。


 それが例えば、「秋しか食べられない限定商品」として売り出されると、実体は変わらなくとも、価値は変わります。


 それほどまでに、価値とは曖昧で、恣意的なものなのです。


 では、ここで話を労働へと敷衍してみましょう。


 労働とは、日本人にとっては、会社などで働くことなどを指します。


 時間を差し出して、商品などの「価値」を生み出す代わりに、お金という対価を得る行為。それが労働だとすると、プロ奢さんも労働をしているのではないでしょうか?


 なぜなら、価値を生み出さない労働は労働とは言えないからです。


 例えば、ある会社が旧モデルの車を売り出した。しかし、旧式なので買う人がいない。そのせいで、社員にお金が振り込まれない。


 この場合、製品を作った社員は労働をしたように見えますが、製品が売れなかった時点で、それは商品ではなくてゴミなんです。何の価値も生み出していない。


 つまり、この会社の社員は労働をしていないわけです。「価値」を生み出さない行為は労働とは呼べません。


 ということは、きちんと奢られているプロ奢さんは、実質働いているのではないでしょうか?


 もっと言うと、働けるのに生活保護を受けている人も、国にとっては生活保護費を払うだけの価値があると評価しているから、生かしているのではないでしょうか?


 ニートの人も親にとっては生かしておくだけの価値があるんです。生かしておくだけの価値がなくなれば、追い出されているはずですから。


 というわけで、「価値」なんて「評価」でしかないので、働いていないからといって、自分で自分のことを勝手に「グズ」だと「評価」するのはやめましょう。


 価値なんて、評価なんて、見方によってはどうとでも変わるものなんですから。

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