第101話 前夜は気持ちが出やすい
今回取り上げるのは「前夜」。決戦前夜、結婚前夜、革命前夜、前夜祭と前夜というのはある意味、特殊なシチュエーションなのだと思います。
前夜でまず思い浮かぶシーンは『鋼の錬金術師』でのひとコマ。
約束の日の前夜、カナマというスラムで主人公たちは「いよいよ明日だ」みたいな感じで決意を新たにします。ラスボスと対峙しようとする緊張感、元の体に戻ってやるという意志の強さ、仲間との絆が短くはありますが、表現されています。前夜ならではのキャラ描写ですね。
次に思い浮かぶのは映画『レ・ミゼラブル』。革命前夜が描写されるんですが、もうなんか切ないです。
娘を心配するジャン・ヴァルジャン、革命に身を投じる想い人を心配するコゼット、国に反逆する学生たちの逮捕に思いを燃やすシャベール、革命を成功させんとする学生たち…。映画はミュージカルなので、それぞれの気持ちが歌で表現されるんですが、もう没入感が半端ないんですよ。普通に撮っていたら、おそらく暗すぎて没入感が薄れていたのではないかな、と思います。とにかく、革命前夜が自分にとってけっこうイメージが残ってます。
前夜と少し違いますが、夜明けもけっこう特殊ですよね。
漫画『新鉄拳チンミ』のカナン自治区編なんて時間的に一夜しか経ってないのに連載は3~4年続きました。夜明けを描くのにどんだけ時間かけてんだ、という思い出が残ってます。
結婚前夜は…もはや花嫁の気持ちを表現するためのものと言ってもいいかもしれませんね。
聖書にある「最後の晩餐」なんてまさにキリストが十字架にかかる前夜を描いたエピソード。ヨハネの福音書では約三分の一のページがこの前夜に割かれています。ヨハネさんは、この場面をよほど伝えたかったんでしょうね。
前夜は、キャラ描写をする絶好の機会。だからこそ描写に困ったら、何かをする前の日の夜を書けばなんとかなるかもしれません。
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