第27話 冤罪〈クラウンside〉
「チャボットが毒殺?」
「はい。ルーザリア様が犯人だと……そんなはずないのに……」
ルーザリアと仲の良かった男爵令嬢がそう言ってきた時には頭が真っ白になった。
事情を聞けば、ルーザリアが犯行に及んだとされる時間には、私と過ごしていた事が判明した。
大丈夫だから安心しろと言って、急ぎルーザリアのもとへ走ると、彼女は学園の面談室で教師たちから責められている最中。
私は迷わずその場に割って入った。
「ルーザリアは無実だ」
「クラウン様!」
「殿下……。どうなされました?」
その場にいた学園長たちは困惑した様子だったが、私の話を聞き彼女が無実だと分かってくれたようだ。
疑ってすまなかったと詫びられ、今日の所はこれで終わりにという事になった。
「大丈夫かい? 怖かったろう?」
「えぇ。でも、きっと殿下が助けに来てくれるって……私信じていました」
「そうか」
私を信じて待っていたとは……。
彼女にこんなに頼られるのが嬉しい。
「それで、誰がルーザリアが犯人などと言ったのだ?」
「それは……」
「良いの、言わないで……」
友人の男爵令嬢の言葉を遮るルーザリアの行動を不思議に思った。
「どんな事があっても君を信じるから、私に全部話してくれ」
「クラウン様がそう言うなら……」
そう言って語られた真相は、グレイシアの罪の告発だった。
全てを知って思ったのは……。
これはルーザリアを|公妾〈こうしょう〉ではなく、王太子妃にできるチャンスでは?
普段抜け目ないグレイシアを婚約者の座から引きずり下ろすのには最適な事件だった。
その日は実習で学園外に出ていたフールが戻ってきてから今回のことを聞くと、なんと彼は飼育員と共に現場にいたという事が判明。
グレイシアらしい人影を目撃したのに問題にならなかったのは、彼女がそんな事をするはずないと最初から除外されていたためだ。
フールもその時は、まさかルーザリアが犯人とされるなど思いもしなかったので、素直に
だからこそ、あの日のパーティーで隠蔽されていた事すべてを明るみに
これは一体どう言う事なんだ!
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