第7話 屋敷に戻り……

急いでいてわからなかったが、外に出るとそこは中世ヨーロッパのような街並みが広がっていた。周りを見渡すとそこには様々な種族がいた。人族だけではなく獣人やエルフなどの亜人種もいるようだ。しかも結構いる。そして、街を歩く人々だが、ファンタジー映画に出てくるような服装の人もいれば、スーツ姿や着物姿の人もいる。本当に異世界に転生したんだなぁと思う。


「ユート!お前、神像光らせたんだってな!」

「うわっ!?」

突然後ろから肩を組まれて声をかけられた。その人物は金髪で長身の男だった。顔立ちは整っているが目つきが悪く、社畜みたいな感じだ。

「驚かせてすまないね。私は『ディアーナ』。一応君の姉だ。」

「姉?」

この女性が?僕より年上に見えるけど・・・それにさっきなんて言った?

神像光らせただとか言ってなかった?

「まあ、驚くのも無理はないよ。私も驚いたしね。」

「えっと……」

「ユート、そろそろ戻るぞ……ってディアーナ!国王陛下の仕事は終わったのか!?」

「ああ、もう終わりだよ。少しくらい息抜きしてもバチは当たらないだろう?」

「それはそうかもしれないが……ん?ユートじゃないか。」

今度は僕の知っている人物が現れた。銀髪碧眼で美形の男性。僕達の父親であり、このハルミントンの地の領主だ。

「父さん!」

「元気そうだな。ところでなぜユートはディアーナと一緒にいるんだ?」

「実は……」

僕は父さんに今までの経緯を説明した。ちなみに、今はここまできた馬車の中にいる。

「なるほどな……。しかしまさかお前が神像光らせるとは思わなかったぞ。俺も見たかったな。」

「僕だってびっくりだよ。」

「そういえば、なんで母さんがいないんだい?いつも一緒に来るのに……」

「ああ、なんか今日は体調が悪いらしい。それで代わりに俺たちだけで来たんだよ。」

「そうなんだ。心配だね……」

そんな会話をしているうちに屋敷に着いた。

「じゃあ、俺は仕事に戻るからまた後でな。」

「うん。頑張ってね。」

「ありがとう。じゃあ行こうか。」

僕達は応接室に向かった。応接室で待っていると、執事が入ってきて僕達に話しかけ

「お待たせいたしました。ご案内いたします。こちらへどうぞ。」

と言って部屋を出て行った。僕達がついて行くとそこは大きな会議室のようなところだった。そこには既に何人か集まっており、皆が座っていた。僕達が席につくと、父さんが

「全員集まったかな?では始めるとしよう。」

と言い、話し始めた。

「今回集まってもらった理由は他でもない。我が国の第一王女であるソフィア様の護衛について決めようと思ったからだ。」

すると、周りの人達からは歓声が上がった。父さんの話では、この国には第一王女がいるらしく、今年成人を迎えるらしい。なんでもその姫はかなり美人なんだ

「では、まず護衛候補となる方々を紹介します。」

と言って一人の男性が出てきた。

「彼は王国騎士団団長の『カイド』殿です。彼の剣技はとても素晴らしいもので、我が領地の騎士達の憧れでもあります。」

次に出てきた男性は金髪の

「こちらは『アルデバラン』殿です。剣術だけでなく魔法も一流の腕前を持つ騎士です。」

次は先ほどの二人よりも歳をとった男性が出てきて

「私は王国宮廷魔導士長の『ジーク』殿です。彼も優秀な魔法使いとして有名なのです。」

そのあとも様々な人が紹介されていき、最後に出てきた女性を見た時僕は衝撃を受けた。なぜなら彼女はとても綺麗だったから。透き通るような白い肌に腰まで伸びる銀色の長い髪。まるで女神のように美しい人だった。

「最後は我が国の第二王女である『ミリア』殿下です。彼女の美しさは王都中に知れ渡っており、求婚者も多いとか。」

父さんの説明を聞いて僕は心の中で思った。

(この人たちを《特に第二王女》守るなんて絶対無理だろ!!)

「それでは皆さん、候補者の方々との顔合わせをお願い致します。」

そう言ってみんなは部屋から出ていった。

そして、一人になった父さんは言った。

「ユート……お前ならできるよな?」

「無理無理無理無理!!」

「そう言わずに頼むよ……」

父さんは僕に第三騎士団の主導権を渡したため、形だけでも仕事を受けなければいけないと言うことだった。

「わかったよ……」

「すまないね。本当は俺が直接行きたいんだけど、色々あって行けなくてさ……」

「別にいいよ。それにしてもこんなことするなんて珍しいね。いつもは自分で決めるのに……」

「今回はユートの今後にも関わってくることだし、しっかり考えてほしかったんだ。まあ、無理強いはしないけどな……」

「うん。ありがと。とりあえず会ってみるよ。」

「そうか。じゃあ、俺はもう行くから。何かあったらいつでも相談に乗るぞ?」

「大丈夫だよ。心配性だね?」

「親だから当たり前だろ?じゃあまた後でな。」

そう言って父さんは部屋を出て行った。僕もそろそろ行かないと……

「よし!頑張るぞ!」





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