第28話
月日は過ぎていき新しい年を迎え、冬休みも終わり、彩は相変わらず慌ただしい毎日を送っていた。
2月13日の日曜日、この日、彩の家には美玖が来ていた。
明日のバレンタインデーの為に、二人で手作りチョコを作るためだ。
キッチンのテーブルの上にはチョコレート、ホワイトチョコレート、ストロベリーチョコレート、コーンフレーク、トッピング用のチョコ、チョコ用棒、アルミカップなどが並んでいる。
「私、手作りなんて初めて。彩が教えてくれるって言うから楽しみだったんだ」
「任せて!私は中学校の時、家庭科クラブだったから手芸、料理、お菓子作りは得意なんだ」と彩は鼻を少し膨らませて得意顔になった。
「では、彩先生、よろしくお願いします。何からしましょうか?」
「よろしい、ではまずですね。チョコレートを手で割ってこの耐熱ボールに入れて600Wのレンジで1分チンします。その間にコーンフレークをビニール袋に入れて粗目に砕いて、それから…………」
2人でああだ、こうだと言いながら約2時間後には出来上がった。
アルミカップの中で固めた棒付きのチョコは周りがギザギザで可愛い。
トッピングもカラフルだ。
コーンフレーク入りのチョコは一口大のボール型にしてチョコとホワイトチョコとストロベリーチョコの3種類。サクサク食感に甘いチョコ味がたまらない。
「わぁ、可愛く出来たね。嬉しい」と美玖は大喜び。
「美玖は彼がいていいな」と彩が羨ましそうに言うと
「彩だって、ユート先輩に渡すつもりなんでしょ?」
「う~ん、そのつもりなんだけど、渡した時のユート先輩の反応が怖い」
「なんでぇ、ユート先輩は絶対彩に気があるって。私の勘はよく当たるんだから。彩、自信をもって」
「そうかな、だと嬉しいんだけど。それから私、新聞配達のおじさんにも日頃の感謝を込めて渡すんだ」
「時々手紙の交換してるって言ってたけどまだ続いてんだ。誰だか分んないのに不思議。まぁ、彩は漫画の主人公でも恋人に出来る人だからね」
「やだ~、もう関係ないよ。新聞配達のおじさんは私の悩み相談相手で歳は違っても心の友なんだから」
「そっか、そっか」
彩はユート先輩用とマシュウおじさん用とお父さん用の3つを丁寧にラッピングした。
父親は出張先から昨夜帰ってきて今日は母親と買い物に出かけている。
帰りは夕方になると言っていた。
お昼になったので彩はベーコン、ほうれん草、しめじを使って得意の和風パスタを作って二人で食べた。
「美味し~。彩、いい奥さんになるわ。私は料理はダメだわ」
「美玖は料理はダメでも他の事は何でも出来るじゃない。少しくらい出来ない事がないとずるいよ」
「そんなことないわよ。私だってこう見えて陰で努力してんのよ」
「そう?そんな風に見えないな。元々出来が違うよ」
「あのね、人それぞれだから、私は彩の素直で明るいとこがいいなって思ってるよ」
「ありがとう」
「そうそう、それでよし」
その後二人はおしゃべりしたりゲームをしたり音楽を聴いたりして過ごし夕方、美玖は帰っていった。
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