第16話

『朗読部門』は予め決められた5つの指定作品がありその中から選ぶことになっていた。

美玖は山本先生から「5つの作品に全部目を通して自分が読みたいものをどれにするか来週の月曜日までに選んでくるように」と言われた。


『アナウンス部門』は学校あるいは地域をテーマに自分なりに取材したり思った事、考えた事を校内放送をする感じで400字詰原稿用紙一枚分にまとめて自分で原稿を作成することになっていた。

彩は山本先生から「来週の月曜日までに原稿を仕上げてくるように」と言われた。


「先生、自分で原稿作るんですか?聞いてないですよぉ。無理ですよ」と彩が言うと

「普段、お昼の放送をしているだろう。その原稿は自分で作っているんだろう?」と山本先生。

「そうですけど」と彩。

「最近、お昼の放送を聞いていて松本の原稿はなかなかまとまりが良くてポイントも押さえているので松本ならいい原稿が書けると思っているよ。いつものお昼の放送の感じで良いんだよ」とあっさりと言った。


(なんだ、なんだ、ただアナウンスするだけじゃないなんて……。原稿を書くってうそでしょ!?)

彩はこの大きな課題に頭を抱えるのだった。



 翌日、部室に行くと悠人が近づいてきて

「聞いたよ。『アナウンス部門』に挑戦するんだろ。原稿書けそう?」


「全く、何のテーマにするかも決まってないです」と彩。


「急に書けと言われても難しいよな。これは参考までに」

と言って一枚の紙を渡してきた。


「ありがとう」と受け取って見ると



――――――



まずテーマを決めて一言で見出しをバーンと!

    ↓     

見出しの内容を簡潔に!

    ↓

インタビューした内容を入れる

(無くても良いがあった方が内容が深くなる)

    ↓

これからの事 まとめの一言


現在→過去→現在→未来のパターンがベスト


※アナウンスの大会 頑張って!!


              

――――――

                   

「ユート先輩、パソコンでわざわざ作ってくれたんですか?」


「これだけじゃ、なんの足しにもならないと思うけどね。彩ちゃん元々文章の組み立て上手いからこんなの必要にないと思うけどね。あとネットで調べたら今までのコンテストの原稿なんかも載ってるから見たらいいよ」

と言いながら部室のパソコンを立ち上げて閲覧できる画面を探し出してくれた。


「あっ!ありがとう。嬉しい。これ参考になりますね」

それを見ていたらテーマも具体的に絞れてきてなんか書けそうと思えてきた。

インタビューする相手も定まってきた。

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