第12話

 今日は月曜日、Aチームのお昼の担当の日だ。

先週、Aチームが集まって今週のお昼の放送はどのように進めていくか打ち合わせ済みだ。


 副部長から

「月曜日は彩ちゃんが放送してごらん。ユートは他のフォローに回って2人でやってみてね。私は教室で聞いているよ」と言われていて

悠人がその進行表を分かりやすく作って用意してくれていた。

こういった細かい作業はいつも悠人が引き受けてくれシナリオを作ってくれる。


「何でもそうだけど準備が一番大切なんだ。準備さえキッチリしていたらあとは進行表に従って進めていくだけだから」と悠人が言う。


 進行表を見て彩は感心した。

分、あるいは秒刻みで細かくスケジュールが作られていて曲を流すタイミングや取材した動画(パソコンから送ると各教室のテレビで見れる)を流すタイミング、しゃべる言葉など全てが時間内に収まるように作られていた。予め、悠人と2人で何度も練習もしてきた。


(この進行表通りに進めればきっと上手くいくはず、だって何度も練習したんだもの) 

彩はそう思った。



 お昼時間には生徒から募集したリクエスト曲を流したり、生徒に連絡するお知らせ、生徒からのメッセージなど放送するのだが、今回はAチームが考えた企画で、生徒から先生に聞いてみたい事を予めリサーチしてその質問の答えを聞いてみたい先生にインタビュー形式で取材したものを流す事になった。

ターゲットの先生は先月結婚したばかりの村上先生。27歳の体育教師だ。プライベートの質問にまじめに答えてもらった。


 緊張しながら彩は悠人の指示に従って放送していった。進行表に書いてある言葉をそのまま読むのだから詰まることもなく順調に進み、曲を流したり、動画などは悠人がスムーズに流してくれ約20分の放送は無事に終わった。


「あ~、終わった」とホッとした彩に、悠人はにっこり笑って両手で輪を作りオッケーサインを出してくれた。


 放送終了後、村上先生のインタビューは

「プロポーズの言葉は何ですか?」

「初デートは何処ですか?」

 などありきたりの質問ばかりだったが村上先生が面白可笑しくそしてまじめに答えてくれていたので大好評だった。

そして彩の放送も「うまいじゃん」となかなかの好評だった。


(こんなに上手くいったのはユート先輩のおかげだ)


彩はいつもチャラいし部会の時なんか居眠りしていい加減と思っていた悠人を

(ユート先輩、意外と優しくて頼りになるじゃん)と見直すのだった。








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