第57話彰人は助けられる
「正直信じられない、本当にまなちゃんだとは」
「まぁただのアンドロイドだけどね、堺愛美自身はとうの昔に死んで全部私の脳内データに残ってるだけ」
縛られたままだが彼女の造られた訳やなんでアイドルになったかを話してくれたが、肝心の拉致監禁は話してくれていない。
「それでなんで俺を拉致監禁なんて真似を」
「それは……。……あっくんて昔の堺愛美と約束した事覚えてる……?」
「まなちゃんと約束した事……?」
正直言ってまなちゃんとの思い出はそれ程ない、その時は幼稚園の時だったのでまなちゃんと呼んでいたのとごっこ遊び等をしていた記憶しかない。
「やっぱり覚えてないんだね……」
「ごめん」
「あっくんが謝る必要なんかないよ。大丈夫覚えてないんだったら仕方ないよ」
まなちゃんは微笑んで答えているのに悲しそうな顔をしていた。
PrrrrrPrrrrrPrrrrrPrrrrrPrrrrr
「また……」
スマミフォンの着信音が聞こえてくる、それは俺のスマミフォンに設定している着信音であった。
まなちゃんはポケットから俺のスマミフォンを取り出す
「ちょっと待っててねあっくん。すぐ戻ってくるから」
まなちゃんはそう言って教室の扉を開けて教室から出ていく残された俺はどうしたらいいか迷っていた。
まなちゃんには悪いけどここは逃げよう。
今度こそ逃げたのが分かって捕まってしまえば命はないと思う。
けどここから逃げようと縄を解こうとするが……
ぜ……全然抜けれない。
前よりも縄がキツく縛ってある為抜け出す事ができない。
パリン!!
急に教室の扉のガラスが割れたそこから手が伸ばされ所々切れていた。
「……まなちゃん……?」
割れたガラスの先にはまなちゃんの顔が伺える、まなちゃんの顔は微笑んだまま一切動く気配がない。
「あ…あ…あ…あっくん」
まなちゃんは俺の名を呼ぶと急に喋らなくなってしまった。
「彰人君!!」
「亜梨沙姉ちゃん……?」
まなちゃんを押し退けて教室の扉をガラッと開け亜梨沙姉ちゃんが側までやってきた。
「なんでここが……?」
「今それは気にしなくていいから。それより早くここから出ないと」
縛っていた縄を切って亜梨沙姉ちゃんの肩を借り教室から出ていこうとした瞬間突然まなちゃんが動き出した。
「本当目障り、今すぐあっくんから離れて」
「愛美ちゃん、どうしてこんな事をしたの?」
「あなたに私とあっくんの何が解るっていうの」
「そんなの解る訳ない、だって愛美ちゃん全然自分の話しないじゃん……!!」
遠いがサイレン音が外から聞こえてきた。
「警察にも電話したからもう逃げる事もできないよ」
まなちゃんは俺じゃなく亜梨沙姉ちゃんを睨むと、廊下の窓を開けてそこから飛び降りた。亜梨沙姉ちゃんと窓を覗き込むが地上にまなちゃんの姿はなかった。
「……!!彰人様無事でしたのですね」
廃校から出て警察のパトカーが数台並んでいる中、そこに不釣り合いのリムジンから御嬢瑞希がリムジンから出て側に駆け寄って抱き着いてきた。
「全部この子おかげなんだ、いきなり撮影所に着て彰人君が危ないって話をして。私を撮影所から連れ出して話を聞いたの」
「そうだったのか、でもなんで?」
「彰人様のスマミフォンです。連絡先が分かってれば御嬢財閥の力を使えば、居場所など簡単に分かります」
「はは……それはすげぇ」
「彰人君!?」
「彰人様!?」
安心して気が抜けたのか頭が回らなくなって二人の胸に倒れ込んでしまう。
「………彰人」
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