第37話彰人は天神舞亜に会うと震える


学校から帰る途中に公園に寄ったが、まだ彰人君は来ていなかった。


「まだ先生とお話してるのかな……」


私はランドセルをベンチに置き、彰人君が来るまで、砂場で一人で遊んでいた。


「……彰人君遅いなぁ」


砂場で泥団子を完成させるまで彰人君は公園に来なかった。


「彰人君でも待ってるの?」


「天神舞亜」


「いけないよ、年上の人にはさんをつけないと」


天神舞亜は論するように私のおでこにデコピンを決めた。


「今日は何の用ですか」


私の前に突然現れた天神舞亜、彼女はどうして私の前によく現れるのだろうか


「用っていうか、ちょっと話したくてね」


「私は別に話したくありません」


私はぷいっとそっぽを向く、この人の事は嫌いなので話をしても無意味だと思ったからだ。


「そう言わないで、ちょっと聞いてよ」


天神舞亜は構わずに、わたしの隣に座ってくる。


普通中学生の女子なら、砂に座るのは嫌がるものだが嫌な顔一つしなかった。


「君ってさ私とよく似てるよね」


「私とあなたが」


正直全然似てる訳がないそう即答しようとしたのだが。


「外見じゃないよ内面の方ね」


「内面」


「そう。君はさ彰人君の事どう思ってる」


「彰人君の事をどう思ってるか……?」


「異性として好きなのか、友達として好きなのか」


そんなの友達としてに決まってる、彰人君は私が引っ越してきて初めてできた友達なのだから。


「彰人君の事は友達として好きに決まって」


「おーいお待たせ」


天神舞亜に伝えようとした時、彰人君が公園へとやってきた。


「ごめん結構話長引いちゃってさ」


彰人君は走ってきたので息を荒らげていた、まだ私の隣に座る、天神舞亜には気づいてない様子だ。


一呼吸して息を整える彰人君は私の隣に座る、天神舞亜に気付いた。


「……舞亜さん」


彰人君の体が震えだして立ちすくむ。



天神舞亜は私の隣から立ち上がり、立ちすくんでいた彰人君の頭を撫でて公園を後にする。


私はすぐに彰人君の側に駆け寄った。


私とあの人が似てるなんて絶対にない、だって彰人君をこんな震えさせるなんて事を、私はしないから。


「彰人君、あの人に何かされたの」


私は彰人君とベンチに座り、震えの原因を聞いた。


昨日も今日もあの人に会ってから彰人君の体は震えていたのできっと原因はあの人に違いなかったと私は気付いた。


「舞亜さんはたまに冬華姉さんと遊ぶ為に家にやってくるんだけど。冬華姉さんがトイレとかおやつを持ってくる時に部屋を出ていくと体中を触ってきたり、俺を抱いたりしてくるんだ」


「それお姉さんは知ってるの」


「言ってない、俺のせいで冬華姉さんと舞亜さんの仲が悪くなるのは嫌だから」


「でも天神舞亜がやってる事は犯罪だよ、いくら友達の弟だからって限度てものが」


「お兄ちゃん」


「久遠」


「もう帰ってこいってお母さんとお父さんが言ってたよ」


「そうか、やっぱ先生の話が長かったな。悪いな今日遊べなくて」


「ううん、私は平気だけど、また何かされたら私に言ってね、お姉さんにも私から伝えてみるから」


「それは止めてくれ」


彰人君に止められてしまう。


「なんでお姉さんに伝えたらいけないの彰人君」


「君には関係ないから」


私は何も言い返す事が出来ずに彰人君と迎えに来た久遠ちゃんが公園から帰るのを見送るしかできなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る