第35話椎名胡桃と天神舞亜は話す

 

 それから私は毎日のように公園に通い、彰人君と遊んだ。


「彰人君の事ずっと見てたけど。私とか久遠ちゃんとか冬華お姉さん意外と遊ぶのを見たことないよね」


「あー前はもっと遊ぶ奴がいたけどもう」


 彰人君は同じ小学校の先輩だが、あまり見かけたりしていなかった、それに彰人君は私よりも早くから公園で遊んでいるのだ。


「もしかして彰人君って小学校に行ってないの……?」


「えっと、お恥ずかしながら絶賛不登校中でございます」


 彰人君は困った顔で答えた。


「理由とかってあるの?」


 砂場で一緒にお城を作っている途中、私は彰人君の不登校の理由を質問した。


「まぁイジメられてな。それだけならまだ良かったけど一番仲良しだった子が引っ越して手紙を送っても返ってこなくて。学校に行く気がなくなったかな」


「一番仲良しだった子。それってもしかして……女の子?」


「そうそう、その子と付き合う事になったけど。結局もう無意味って事かな?」


 なんだろう、彰人君に付き合ってる女の子がいるって知ったらーー胸がズキズキと痛んだーー


「そういえばその子と付き合いだしてからだったな。小学校っでイジメられるようになったのは」


「その子に相談とかしなかったの?」


「相談はしなかった、俺の問題だったし耐えられたから」


 彰人君は城を作るのを一時中断しながら答えてくれた。


「……彰人君」


 彰人君は何も無かったように城を作るの再開する。


「また明日も暇だったら公園に来たら遊べると思うから」


「うん、必ず来るよ」


 暗くなる前に砂場の城を完成させると、お母さんから借りたカメラで写真を撮る。

 綺麗に撮れたか確認し忘れたが、彰人君と砂の城を一緒に作れた事だけで私は嬉しかった。


「……ねぇ君」


 公園で彰人君と別れ、家の帰り道を歩いていた私は声をかけられた、振り返る。

 この前彰人君のお姉さんの隣にいた女子であった、名前は確か天神舞亜と名乗ってた筈。


「……私に何か用ですか?」


 警戒するように呟く、背中に背負っていたランドセルから防犯ブザーを持ち出す。


「まさかそんな危険人物扱いされるとは思ってなかったよ、ちょっとお姉さんとお話しよ」


 そう言って、私は駅前の喫茶店にまで連れて行かれる、知らない人には付いていっちゃダメって学校の先生やお母さんから聞かされていたが。

 私は警戒を緩める事は無く、防犯ブザーを何時でも鳴らせるように握りしめる。


「好きな物頼んでいいよ」


 喫茶店に座り、そう言われたので、私は好きなイチゴパフェとオレンジジュースを注文する目の前に座っていた天神舞亜は紅茶を注文した。


「お話ってなんですか」


 店員さんが届けてくれたオレンジジュースを飲みながら、私は質問した。


「君、最近彰人君と公園で遊んでるよね」


「それが何か?」


「単刀直入に言うけど君が彰人君と遊び始めてから、彰人君がまた学校に通い出そうとしてるんだよね」


「それはいけない事なんですか」


「私にとってはね、やっと彰人君と知り合いになれたのに君が関わりだしたせいで計画が台無しだよ。折角彰人君をイジメる人間を作って、幼馴染まで引っ越しまでさせて。精神的に追い込んで知り合った私が彰人君を助ける計画が今じゃ君に邪魔された」


「それで私にどうしてほしいんですか」


「彰人君と関わらないで」


「それは無理な相談です、話がそれだけなら私はこれで」


「あれパフェ食べていかないの」


 私は椅子から降りて、喫茶店から出て行く。


「無視か、まぁいいよまた新しい計画を作ればいい。いつか絶対彰人君は私の物になるんだから」

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