第13話御嬢瑞希は迷子。あの時の言葉の意味
御嬢瑞希に連れてこられた場所はデ〇ズ〇ーワール〇の着ぐるみ達が集まっている場所だった。
てっきりアトラクションとかに連れていかれると、予想していたのだが。
「彰人様、一緒に撮って貰いましょ」
御嬢瑞希は興奮気味にキャストの方にお願いをして、御嬢瑞希の持つ携帯に俺と腕を組んだ御嬢瑞希。
その横にミ〇キ〇が、いや普通ミ〇キ〇を真ん中に立たせて両隣に撮るだろ、だが携帯の写真の御嬢瑞希の笑顔は最高のように見えた。
そういえば昔家族でデ〇ズ〇ーワール〇に来た時迷子になったけ……その時は誰かもう一人俺と同じ迷子の子を見つけたけど。
まさかそれが御嬢瑞希なんてありえないよな。
結局迷子になってた俺を姉さんが見つけて、家族と再会できたがその子の親を探す為、家族総動員でデ〇ズ〇ーワール〇を組まなく探した。
夜にようやくその子の親が見つかり、俺はその子に礼として頬っぺにキスされたのを覚えていた。
だがデ〇ズ〇ーワール〇を楽しめたのは迷子になる前だけであった。
「彰人様楽しめていますか」
御嬢瑞希から急に楽しめているか聞かれた。
いや誘拐された挙げ句デ〇ズ〇ーワール〇に連れてこられ、思い出したら訳を話すなんて言われたら、楽しめるのものか。
「率直に言えば楽しめない」
「そうですよね、騙して連れてきた挙げ句に訳を話さないんですから」
どうやら御嬢瑞希も分かっていて聞いてきているようだ。
「ですけど私は彰人様と一緒にいるだけで楽しいです、昔彰人様が私を……あっ!?」
突然人の流れが変わり、俺と御嬢瑞希が歩いていた方向から人が押し寄せてきた、腕を組んで歩いていたが、人の波に流され、御嬢瑞希と離れてしまった。
行き着いた先はパレードの観覧席のようだ。
「今すぐ連絡とって」
ポケットに入れている携帯電話を取ろうとしたが、いつもポケットに入れている携帯電話の感触が無かった……まさか家に忘れてきた。
いや持っていたとしても御嬢瑞希とは連絡先を交換していなかったのを思い出した。
「なんですって!? お嬢様が行方不明ですと」
「いや、行方不明というよりも迷子に近い感じですね、普通なら戻ってきてると思ったんですけど」
はぐれた時に集合場所を決めていなかったので俺は一度デ〇ズ〇ーワール〇から出て、車の前に立つ黒服の大男に御嬢瑞希が戻ってきてないか聞いたが、どうやら戻ってきていないらしい。
「これは一大事です、直ちにここを閉鎖しなくては」
「いやいや、そんな焦らないでください、まず説明をして探してもらいましょう」
黒服大男がずんずんとデ〇ズ〇ーワール〇の入場ゲートに近づくのを力づくで止める。
「その通りですね、焦って我を忘れてました。申し訳ない」
どうやら聞き分けはいいらしい、その後キャストの方に黒服の大男が英語で説明して、御嬢瑞希はシ〇デレ〇城付近で見かけたと黒服の大男に言われた。
「私はもしかしたらお嬢様がこちらに来る可能性もあるのでここで待機しております。こちら連絡用にお持ちください」
渡されたのはトランシーバーだ。
「御嬢財閥が開発した新型トランシーバーです、普通のトランシーバーとは違い、距離など関係なく携帯のように電波がある場所なら世界中のどこにいても連絡が取り合えます」
なんか凄いの渡された、何世界中のどこにいても連絡できるトランシーバーって。
だが携帯を持っていなかった俺にはありがたい代物だった。
「じゃあ見つけたらすぐ一緒に戻りますから」
俺は御嬢瑞希のように顔パスで通れる訳もなく、黒服の大男から渡されたチケットでデ〇ズ〇ーワール〇に再入場する事ができた。
シ〇デレ〇城付近に着くと、既に夜になろうとしていた。
御嬢瑞希の姿を探すが見つからない、もしかしたら黒服大男の方に行ったのかもと思いトランシーバーで連絡してみたが、どうやらまだ来てないらしい。
てか本当距離とか関係ないんだな。
「もう少しこの付近探してみるか、sorry」
振り返って人にぶつかってしまう、英語で謝ろうとしたが、俺とぶつかったのは御嬢瑞希本人だった。
「彰人様、思い出してくれたのですか!!」
「思い出す?」
御嬢瑞希に言われ、昔のシ〇デレ〇城が頭の中で思い浮かぶ、そこに俺ともう一人迷子になった子がいた。
「If you meet again Please marry me」
当時の俺は英語なんて分からず、ただ頷くだけのような気がした。
その時も夜で花火が上がっていた、迷子だった少女は俺の頬っぺにキスすると、再会した親に連れられ、俺とその少女は一度も会うことはなかった。
「あの時迷子になってたのは君だったのか」
「まあ彰人様も一緒でしょ」
御嬢瑞希は微笑み答える、どうやらありえないと思っていた事は、現実になってしまったようだ。
「私も最初は信じられませんでした、あの時の男の子と再会するなんて、しかも私は道に迷っていましたし」
「俺だって気付いて声をかけたんじゃなかったのか?」
御嬢瑞希と隣合わせでベンチに座り、夜のシ〇デレ〇城に上がる花火を見ていた。
「まさか本気で困っていて、声をかけたんです、最初は気付きませんでしたが。家に帰りあの時の男の子だとよくよく思い出しました」
「俺は全然覚えてなかったし思い出さなかった、ここに連れてこられて、やっと思い出したよ。ここに連れてきたのはそうゆう理由だったんだな」
「でしたら彰人様」
「どうした?」
「Please marry me」
あの時言われた言葉を、数年の時が経って、また言葉にされた。
「また会うことはできました、大人になり思い出した彰人様なら。この意味分かりますよね」
昨日、今日と二人に告白される。
まあ御嬢瑞希の方は告白というよりも、結婚してくれって意味だが。
「急ですので返事は待ちます、けどもし彰人様がよろしければ。私はこの身を彰人様に全て捧げます」
シ〇デレ〇城の花火も終わり、俺と御嬢瑞希はデ〇ズ〇ーワール〇から出て黒服の大男が待っていた車に乗り込み、強制的に乗せられたジェット機にまた乗せられ、俺は日本の我が家に帰ってくる事ができた。
「あら朝帰り、彰人」
ちょうどよく玄関前の掃除をしていた母さんとばったりと会ってしまった、俺は気まづくなる。
「それでは彰人様、返事の方期待していますので」
車を降りる際、御嬢瑞希に手を握られるとあの時とは違い、口にキスされた。
それは母さんと運転していた黒服大男にも見られた。
「……へーセンパイの近くにあの雌猫がいたんだ」
「浮気は許さないよ」
お互いに気付かない椎名胡桃と堺霞の言葉、何故気付かないかと言うと、お互いに見ている距離が違う。
堺霞は城田家近辺にある電柱に隠れ覗いていたが、椎名胡桃は自分の部屋で、姉がハッキングしてくれた城田家前の監視カメラで覗いていたのだ。
「あの雌猫、今度会ったら。ん?」
椎名胡桃は城田家近辺の電柱いる人物に気付いた。
「あの人誰だろう?」
気になるが、今の自分の敵はこの雌猫なので、無視した椎名胡桃。
「おかしい、あの監視カメラ。妙な動きしてる」
堺霞も監視カメラが奇妙な動きを気にしているが、城田彰人達の様子が気になる為無視した。
「それでは彰人様さようなら」
御嬢瑞希の頬は赤くなり下を向く車の扉を閉めて、車は颯爽と走り去って行く。
「なんか最近彰人の知り合い女の子ばっかりじゃない」
「母さん、俺どうしたらいい?」
先程のキスを目撃した母さんに聞く。
「そうねお母さん、お金持ちの女の子もいいけど愛想がいい女の子も好きよ」
「母さん!!」
母さんは玄関前の掃除を止めて、家に入っていく、俺はこれからどうすればいい。
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