神のみぞ知る
昔から一人で人の顔色ばかり伺うお調子者だった
誰よりも明るく文句も言わない努力家をみんなが褒めた
「偉いね」「すごいね」
でも誰も生まれた意味を教えてくれはしなかった
空っぽの蛹で羽化したのは空っぽの人間とすかすかの中身
何もなかった
生まれてきた意味もなぜ生かされているのかもなぜ自分が生きているのかわからなかった
死んだ魚が二度と生き返らないように
とっくの昔にあの子は死んでいた
死にながらも生きていた
周りのため
自己は振り返らなかった
生きる理由も何もかも捨てた時
あの子は初めて笑った
生きる渇き かわら なお @21115
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