第3話 ウィリーとマディ

「私、ずっと昔に生まれて、映画みたいな恋愛したかったのに!」


 恋に恋するように、自由恋愛が出来ていた過去の映画のヒロイン達に憧れずにいられないマディ。


「分かるよ。相手まで勝手に決められるなんて、不幸な時代だよな」


 結婚相手に選ばれたマディに不服は無いが、この結婚の制度に対しては不満を顕わにするウィリー。


「かといって、結婚を投げ出すと、『世捨て人』として赤ランプ点灯させてしまうし」


 ゴーグルの側面には点灯箇所が有り、『前科者』と『世捨て人』は赤ランプが点灯し、周囲から認知されるようになる。


 「赤ランプにならず、それでも、出来る範囲内の婚前恋愛はしてみたいなら、婚約期間を伸ばして、その間に疑似恋愛を試してみないか?」


 ウィリーの提案に瞳を輝かせたマディ。


「大賛成!善は急げだから、婚姻省に申し出ましょう!」


 2人は、婚姻省に赴き、婚約期間を極限まで伸ばす手続きをした。

 最大限で2か月の猶予が認められた。


「2か月か......これで最長か。何だか、短く感じられるな」


「それでも、他のカップル達のような即日結婚に比べたら、長い婚前時間が用意出来たのだから、私達は婚前恋愛に向けて前進しているわ!」


 意気投合した2人は、結婚で現物支給される一軒家を下見に行ったり、家具や寝具などを物色に行った。




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