第2話

「ねぇ、私の事は覚えている?」


 私は、哀しい記憶を引き摺ったままの、ママのお腹に宿ったの。

 妊娠検査薬を見て、ママは喜んだけど、その前の事が有ったから、その喜びは哀しい気持ちと一緒だった。

 産婦人科で、「おめでとうございます」って言われた時も、ママは、素直に喜んでいいのか分からなかったよね。

 それでも、私は、喜んで欲しかったな。

 だけど、ママの気持ちも分かるよ。

 だって、ママの予感は当たっていたんだもの。

 2週間後の健診で、私も、心臓が止まっていたのをママは知って、声を殺して両目から涙を溢れさせていた。


 ごめんね、またママを哀しませる事になってしまって。


 私も、ママに似て、せっかちさんだったから、まだしっかり段取り出来る前にママを喜ばせようとしてしまったの。

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