第2話 母の死の真相

「ニアナ、お母さんの事だが......」


「お母さん、私を生んですぐに亡くなったのでしょう?」


 ニアナには、それ以上は伝えていなかった。

 衝撃が大き過ぎると思い、口には出来ずにいた。


 私はニアナの母である、人間の女性ケイトと結婚して以来、生きている人間の血を吸わず、無縁仏から鮮度の落ちた血しか吸わないようにしていた。

 そのうち、無縁仏の血さえも手に入らなくなった私は、身体が弱り、思考能力も低下していった。

 意識が朦朧としかけていた私に、ケイトは自らの血を差し出した。

 私は死を恐れ、無我夢中でケイトにすがった。

 そんな事が何度か続いたある日、ついにケイトは息絶えてしまった。


 出来る事なら、この事だけは話さずにいたかった。

 ニアナの美しい瞳から涙が零れた。

 

「お母さん、自分の生き血を捧げてまでも、お父さんを愛していたのね」


「今まで、嘘をついていてすまなかった。お前がこれからは、人間として生きるのなら、妻も娘も失った私には、もはや人間に対する遠慮の気持ちも無い。これから先、いつかはお前や家族の血を奪いに現れるやも知れぬぞ」


 脅しではない。

 あまりにも血に飢え過ぎると、自制が全く効かない身体になってしまうのだ。

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