第2話 母の死の真相
「ニアナ、お母さんの事だが......」
「お母さん、私を生んですぐに亡くなったのでしょう?」
ニアナには、それ以上は伝えていなかった。
衝撃が大き過ぎると思い、口には出来ずにいた。
私はニアナの母である、人間の女性ケイトと結婚して以来、生きている人間の血を吸わず、無縁仏から鮮度の落ちた血しか吸わないようにしていた。
そのうち、無縁仏の血さえも手に入らなくなった私は、身体が弱り、思考能力も低下していった。
意識が朦朧としかけていた私に、ケイトは自らの血を差し出した。
私は死を恐れ、無我夢中でケイトにすがった。
そんな事が何度か続いたある日、ついにケイトは息絶えてしまった。
出来る事なら、この事だけは話さずにいたかった。
ニアナの美しい瞳から涙が零れた。
「お母さん、自分の生き血を捧げてまでも、お父さんを愛していたのね」
「今まで、嘘をついていてすまなかった。お前がこれからは、人間として生きるのなら、妻も娘も失った私には、もはや人間に対する遠慮の気持ちも無い。これから先、いつかはお前や家族の血を奪いに現れるやも知れぬぞ」
脅しではない。
あまりにも血に飢え過ぎると、自制が全く効かない身体になってしまうのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます