第6話 帰宅後の日常②
ご飯を食べ終わり、3人分の皿を洗い終わったあと、僕はソファに腰を下ろし、
ご飯の前に読んでいた本を再度、読み始めていた。
「やっぱこの本は読みずらいなこの字をどうにかできないかな」
「そんな時は、これ!」
「うわぁ!!!」
「な、なんだ母さん帰っていたのか、帰っていたなら声くらいかけてくれよ」
僕は家に帰ってきていた母さんに驚き、少し心臓を跳ねさせた。
母さんは中腰になり本を覗き込むように見ていた。
そこにいたのは、僕が読んでる本を覗き込んで一緒にいた母さん
「ごめんごめん、でも凄く集中して呼んでたものだから話しかけるのも悪いと思って?」
どうやら声をかけなかったのは母さんなりの気遣いらしい。
「てか、母さんいつ帰ってきたの?」
「あら、母さんはずっと家にいたわよ?」
「そういう冗談いいから......」
母さんはいつも冗談を言ってくる。
母さんは話すこと、半分冗談みたいなそんな人だ。
「本当のこと言うと、帰ってきたのは5分くらい前かしら?」
「そんなことより、随分真剣に読んでいるのね」
「まぁね、することも無いし父さんのことを知れるのはこの本だけだから」
父さんは僕が3歳の年に行方不明になってから1度も会ったことがない。
だから知りたいのだ、父さんのことを。
「あら、あなたそんなに父さんのこと知りたいのね?」
「そりゃ知りたいさ、母さんに聞いても立派な軍人だったとしか教えてくれないからな」
僕は嫌味混じりにそんなことを言ってみるが、母さんは「えへへ♪」
と笑っている。
「そういえばさっき独り言でこの本が読みずらい、とか言ってたわよね?」
僕は自分の言動を思い返すと確かにそんなことを言っていた気がしたので少し頷く。
「そんな時はこれ!、
「なんでもよめーるくん?なんだそれ?」
かなり変な名前だ、でもこんな名前をつける人は1人しかいない、多分これは母さんの発明品だ。
「これは私が作った、魔力を込めれば父さんの字が簡単に読めちゃう!そんな
母さんがそんなことを言うので僕は拍手して答える。
ん?僕以外にも拍手が聞こえるような?
そんなことを思い、僕は拍手が聞こえる方に目を向けるとそこには優奈がたっていた。
「弥音さん帰ってたんですね」
「あ、優奈ちゃんただいま!」
その言葉に優奈はおかえりなさいと返し、僕が座っているソファに座る。
母さんは僕の前にたったままだ。
「じゃあ、竜人!この眼鏡かけてみて!」
そう母さんに言われたので、僕は母さんのその言葉に従い眼鏡をかける。
そして、さっき説明があった通り僕は眼鏡に魔力を込める。
魔力を込めると少し体内から血液が送られる、そんな感じがする。
魔力を込めるといっても難しいことではない、この世界の人なら常識的に使えるそんな物だ。
僕の魔力を込めるイメージとしては、物との接触点に集中して血液を流す、そんなイメージだ。
これは僕のイメージであって人によってこのイメージは違うらしく例えば母さんとかはコンセントにプラグを差し込み電気を流すイメージらしい。
母さんは研究者なので研究者ぽいイメージだ。
魔力を込めたので父さんが書いた本に目を向ける。
「おぉ、本当に読めるんだ」
「でしょでしょ!?すごいでしょ!?」
本当に読めるようになったので僕は解読できなかった所を読んでみる。
「物の反発力を自由に変えられて敵からの攻撃を受けた時の反発などを減らすこともできる」
「そんな力があるんですね、やっぱり魔導具は魔術付与品と違って能力が強いです!」
優奈はそんなことを言い、目を輝かせていた。
「まぁ、魔術付与品はただ物に魔法を付与するだけだしね」
「確かにそうだけど魔術付与品も凄いわよ!魔導具とは違って日常生活に役立つし!」
「日常的に利用するなら魔術付与品の方が便利かもな、でも軍事利用するとなると、攻撃魔法を付与した魔術付与品なんて燃費が悪すぎる」
軍事利用するなら魔術付与品は燃費が悪すぎる、魔力が高い一部の人間は使っている人もいるらしいが僕みたいな魔力が人並みしかない人には無理な芸当だ。
「そういえば2人の適正値はどんな感じだったの?」
「私はブレイダーE、ガンナーC、マジシャンCでしたよ」
「僕はブレイダーS、ガンナーC、マジシャンE」
「ふむふむ、て、え!?竜人ブレイダーSなの?!」
母さんはかなり驚いた様子で少し興奮気味で聞き返してくる。
「自分でも驚いたよ、選択するならブレイダーとは思っていたけどここまで適正値が高いとはね」
「流石、私の子だわ!」
そんなことを言っているが、この適正値は母さんより父さんの遺伝が強い気がする。
「優奈ちゃんもまずまずな結果ね」
「やっぱり私はダメですね......」
「いや、そういうつもりで言った訳じゃないよ?適正値なんて強くなれる可能性が高いと示してるだけだし、その証拠に優奈ちゃんは魔力量の底が見えないじゃない!」
「そうだよ、適正値なんてただの物差しで優奈も努力すれば強くなれるよ」
すかさず僕はそうフォローを入れる。
前から思っていたが優奈は自己肯定感が低い気がする。
「そ、そうですね私も努力します!」
「うんうん、頑張って優奈ちゃん!」
そう言い残し母さんはご飯を食べにダイニングに向かった。
「じゃあ私もお風呂に入ってきますね!」
「ん、行ってらっしゃい」
優奈も行ってしまったので僕は風呂から優奈が出てくるまで少しソファに横になることにした
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