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12月23日 日曜日 AM 07:00
毎度の如くアラームの音で目を覚ます。
不快に感じるその音を即座に消した。
「チッ」
意味のない舌打ち。
今日の事を考えると気分が優れない。
このまま暖かい布団の中で一日中寝ていたい。
寝覚めが爽やかになる方法が知りたいよ。
【起きてる?】
朝の6時に愛子からのライン。
打ち合わせは10時から始まる。
僕は車で愛子の自宅へ8時に向かう事になっている。
【今、起きた】と返し、立ち上がった。
「寒っ!」
この時期は本当に何もヤル気が起きない。
全く気乗りしない状態だが、すっぽかす訳にはいかないのでノロノロと準備をする。
歯を磨き、鏡に映る自分の不甲斐ない顔が嫌になる。
髪はボサボサ、目は充血、無精髭もチラホラだ。
髭を剃り、スースーする洗顔料で目を醒ます。
髪を手櫛で整え、私服に着替え準備は完了。
個人的には学生の頃からパーカーが好きだったが、愛子に着ないで欲しいと言われてから着るのを止めていた。
子供っぽいからという理由で着ないでくれと言われた。
それに律儀に従う僕。
暖かいコートを羽織り愛子にラインを送った。
【今から行きます】
愛車に乗って向かう。
僕のアパートから愛子の自宅までは、およそ30分の道のり。
道中、コンビニに寄りブラックコーヒーと愛子の好きなカフェオレを購入。
向かう道中は、早く終わって欲しいなぁという事だけだ。
ここまで進んでおいて今更だが、自分は結婚には向いてないと思う。
そもそも愛子の事がそんなに好きではない。
時を重ねれば重ねる程、彼女に対しての不満点ばかりが目立つ。
いや・・目立つというより、そんな風に考えてしまう。
勿論良い所もある。だけど、それだけでは補えない程、悪い部分が勝ってしまうのだ。
愛子が悪い訳ではない。
僕が悪いのだ。
このまま本当に結婚しても良いのだろうか?
そんな思考は愛子に失礼だと理解しているが、どうしても、そんな考えがよぎってしまう。
【着いたよ】と送る。
【秒で行く!!】と返信があり、10分後に愛子は家から出てきた。
「遅れてゴメンねぇ~、母さんと話してて遅くなっちゃった」
悪びれた様子もなく愛子は言った。
香水臭い。
「いや・・いいよ」
そう言って車を走らせた。
助手席側に置いたドリンクホルダーに、愛子の好きなカフェオレを置いていた。
「ん、ありがとう!」
ストローを挿しながら、お礼を告げる愛子。
「おう」
「昨日の飲み会どうだった?」
「別に・・・普通」
「普通か・・そっかそっか」
それからは、ほぼほぼ無言のまま式場へと到着した。
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