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ソシャゲにも飽きたので、興味を引きそうなネットニュースを漁る事にした。
それから暫くして愛子からラインが来た。
【残業終わったー\(^-^)/光の速さで向かいます!】
【コンビニ前の喫茶店でいます】
【寒いもんね!了解なり~】
こんなやり取りから10分程で愛子が到着した。
「寒いねぇ~結構待った感じ?」
「いや・・別に」
「んっ!それじゃ行こっか?」
僕らの行き付けの店【手塚屋】って名前の居酒屋へ向かう。
道中、愛子が手を握ってきた。
正直恥ずかしいから止めて欲しい。
手塚屋に到着して、いつも通り生中と冷やっことレバニラ炒めを注文する愛子。
「好きだな、それ?」
「当たり前っしょ」
笑顔で愛子は言った。
この後の展開は分かる。
「それでさ?飯田に頼んだ資料を私が・・・ー」
いつも通り、彼女の愚痴を聞く展開だ。
自分の身に起きた些細な愚痴を溢す愛子。
それを分かった風な表情で聞く僕。
こんなやり取りを何年も続けている内に、心の中では「待たか」と呟く僕。
自分の話しを聞いて欲しくてたまらない愛子。
それを馬鹿正直に、うんうんと頷きながら聞く僕。
これで機嫌が良くなればとか考えている。
どうして僕は愛子のご機嫌とりをしているのだろうか?
少しでも反論とまでもいかないが、口を挟むと口を尖らせふてくされるのが分かっているからだ。
過去に何度もあって、もう面倒くさくなって結局は自分が折れて今に至っている。
愛子にバレないようにテーブルの下から携帯で時刻を確認した。
【19:50】
帰れるのは今日も22時位になるのだろうと予想。
こんな事なら昨日の仮病がまだ続いているとか言って逃げれば良かったと後悔する。
ご飯を食べる時に、口をモグモグして音を立てる癖を持つ愛子。
何度か注意したが、直す気配も無く逆ギレした事もあった。
その時に愛子が言った発言は「無理無理!子供の頃からだし、ゆっくり食べれば鳴らないけど時間掛かるけど良いの?」だった。
無茶苦茶な理屈だと思った。
直そうとする努力もなければ、納得出来ない言い訳で逆ギレしてしまう始末。
本日も軽快にクチャクチャと音を立てて食べてらっしゃる。
その音を聞いていると食の進みが悪くなる。
結婚したら・・・結婚してしまえば、毎日のようにこの不快な粗食音を聞くハメになるのか。
一時間以上待たされた事もあってか、今日は余計に腹がたつ。
「部長も私に書類の不備を押しつけてー・・ー」
食べながら喋るなよ。
「ー・・・どう思う?」
いや知らんがなって答えたい。
どう思う?・・帰りたいと思う。
「それは部長が悪いよな」
「でしょ!?それでさー・・」
自分語りはまだ続く。
適当に相づちを打ち、適度に笑う自分が情けない。
結婚したらこれが日常と化す。
結婚式までの現在が死のカウントダウンに感じる。
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