フォロワー数は0人である僕が一人だけフォローされた

龍川嵐

初めてフォローされた!

僕の名前は草太。13歳———中学1年生だ。

僕はTwitterをしている。フォロワーは…0人だ。


Twitterを始めたのは、もう3年目になっている。しかし、フォロワーは絶望の数だ。フォロワー数を増やしたいと思い、友達でもない垢に適当にフォローした。しかし、なかなかフォロバー数は増えなかった。多分、僕のアカウントは病み垢なので、こっちから見る人は仲良くできそうな人でないと判断してスルーしていると思う。ため息を吐くたびに、元々に持っている心の傷がさらに傷ついた。また病みツイートして、また悪い印象を与えてしまい、それを繰り返す。見事に悪循環にはまった。簡単に抜け出せないだろう…。


ボーッと、他のツイートを眺める。他のアカウントは2,3,4桁のフォロワーを持っている。多くのフォロワーを持っているアカウントはプロのように上手い絵やアニメとかなどツイートする。ツイートするだけで、一気にいいねが増えていく。それを見るだけで、ただ腹立たしくなった。悔しい、悔しいと思いながら、相手の凄さを認めて、いいねを押した。


適当にポチポチといいねを押す時、突然通知が来た。なんだろうと開いてみると、すぐに立ち上がり、さらに声が上がりそうになった。一体何が起きたか?それは———初めてフォローされた!!初めてフォローされたので、嬉しいと思い、ガッツポーズを作った。すぐにフォローを返そうと思い、フォローされたアカウントのアイコンをタップすると、フォロワー数は僕と同様に0だった。しかも病み垢だった。まさか偶然なの?いやプロフィール欄を見てみると、利用開始日は5月だった。だからフォロワー数は0だったか。フォロー数は一人だけだ。多分、初めてフォローしたのは僕だと思う。なるほどと納得した。利用開始日はどうでも良い、初めてフォローされたさ!!嬉しいので、是非にフォローを返そう!と、フォローするのボタンをタップした。


DMで、フォローしていただきありがとうとフリック入力して送信した。1分経っていないのに、すぐに返事が来た。『こちらこそありがとうございます。友達になってもらえますか?』即に返事が来てもらって、嬉しい。これはハッタリではなく、本当にフォローされたね!、と涙が溢れるくらい感動した。『もちろんです!よろしくお願いします!』と送信した。


フォローされた相手の名前は、リサ。小説書きという趣味は同じだった。自分から話しかけても相手に反応されず、そのままスルーしていくと、僕は何かしてた?とネガティブなことばかり考えてしまうという悩みはすごく似ている。いくつかの共通点があるので、話が盛り上がった。


一ヶ月後、リサから『好きです。一目惚れをしたので、付き合ってください』とDMが来た。ま?と開いた口が閉じることができないくらい驚いた。引き裂きたいくらい嬉しいという気持ちを掻き立てた。


知り合ってから、僕が変わった。前の僕は人の表情を過剰に気にし過ぎて、簡単に情緒が不安定になってしまったが、今の僕は徐々に情緒が安定になってきて、考え方や話し方も明るくなった。孤独の世界から降りて、初めて人とのつながりを感じられた。すごく幸せ。あの頃の僕のことをもう思い出せない。




幸せ———と思ったが、おかしいなと思う点はいくつかある。例えば、僕が通話をしようと言っても、リサは「ごめん今から行かないと」とDMが来た。生年月日や学校などの個人情報は一切触れなかった。時々、予言みたいなメッセージが来た。リサの言う通りに実際に起きていた。危うく命が落ちるところだった。他にもおかしいと思う点はあるが、あまり気にしなかった。なぜ気にしないかのは、リサから「好きだよ」「愛してるよ」とメッセージが毎日に欠かさずに送ってきたから。相手から愛情を注げられて、安心感を得られたので、疑問点が自然に消滅していく。


ある日、たまたまリサのプロフィールを確認してみると、利用開始日が3010ではない。載せてあるのは、12年後、3022だった。目を擦り、多分これはバグってるじゃんかと自分自身に言い返した。しかし、モヤモヤと言う気持ちはなかなか拭えない。その気持ちを解消するために、DMでリサに尋ねてみた。普段なら即に返事が来るが、今回は珍しく遅かった。既読はついているが、入力する気配はまったくなかった。数分後、ようやく返事が来た。


『ごめんなさい。実は私は時空に関する法律を違反して、12年前のTwitterに侵入して、あなたをフォローした』

『なぜ12年前から来て、僕をフォローしたの?』

『それは…今までのやりとりを読み返せば全てがわかると思う。未来から来たと気づいてしまったら、すぐに消さなければならない。タイムパトロールに察知されてしまうから.。話せるのは今だけ。これからは会えないだろう。短い間に話せて楽しかった。さようなら』

『待って!』


送信した途端にブロックされた。クソっと思いながら、別の垢で検索をしてみたが、リサのアカウントが表示されなかった。まるで独裁スイッチでも押して、世の中から消されたような。


…もしかしたら、未来———12年後になる前に僕は死んでたかな?

実は何度か事故に遭いそうになった。リサの予言のおかげで命の危機を逃すことができた。しかし、今はリサがいない。自分でなんとか対処する必要がある。リサの努力を無駄にしないで、死なないように気をつけながら生活していこう、と心から決心した。


12年後、僕は何度かの事故から回避して、なんとか生きてきた。1回だけ死にかけそうになったが、誰かに救急車を呼んでもらい、なんとか死から救うことができた。リサのことは徐々に記憶が曖昧になっている。会話の内容はほぼ覚えていない。


3022年の5月、ボーッとTwitterを眺める。12年前と比べて、ツイート内容が明るくなって、人気を得るようになり、少しずつフォロワー数が増えている。適当にフリックしている時、突然通知が来た。なんだろうと開いてみると、リサという人からフォローされている。プロフィールを見たら、フォロー数は1人、フォロワー数は0人だった。リサという名前やこのプロフィールはどっかに見たことがあるような気がする。思い出せないが、なぜか涙が溢れてくる。何の記憶は残っていないが、心の奥で懐かしく思っている。


早速、フォローされたリサをフォローするのボタンをタップして、DMを送った。











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