第104話 監禁?

 サクラに祝福を授けてから数日が経過し、知らない教室で目が覚めたのは私、セレシア。セレスって呼んでね。


 最近は精力的に動き過ぎたから寝れてなかった……。いや、なるべく起きてサクラを鍛えようとか考えていたから頑張って起きていたんだけどね? 私がよく寝るのはスキルの副作用みたいなものだからどうしようもない時があるの……。


 今日は授業終わりに鹿の子とドワーフの子が来てサクラに何か耳打ちをしたらサクラが突然立ち上がってビックリしたんだけど、そのまま教室を出て行ったから私はサクラが帰ってくるのを寝て待つ事にしたんだ。……そして、今起きたところ。……ここどこ?


 一先ず教室の中を歩いてみる。扉は鍵が閉まってるね。窓はどうかな? …………鍵がかかってるね。小窓は無いかな? ……無さそうだね。どうしよう……。サクラが戻ってくるまで待つかな? んー、元いた教室とも違いそうだからすぐには来れなさそうだね。むむむ。扉を壊すのは宜しくないし……。とりあえず寝れば元の場所に戻ったりするかな?


 ……………………いや、流石に寝れない。寝れないよ! あえて視界から外していたけど壁一面に生き物の剥製が並んでいてこっち見てるの! 何? 私の事も剥製にするつもり!? 剥製が並んでる棚を見てしまい恐怖で全身の毛が逆立つ。と、とりあえず隅っこに隠れていよう。誰かが来たらすぐに扉から出ていけるように……。


 ……どれくらい時間が経ったのかな? 体感的には数時間にも数日にも感じるけどサクラは来ない。うぅ。泣きたくなってきたよ。なんで誰も来ないの? 意を決して隅っこから飛び出そうとすると扉が開いた! しまった! ビックリして隅に戻っちゃった。あぁぁぁ…………扉を閉められた……。ん? 物音がするってことは今扉が開いたのは中に人が入ってきたからか! よし、出ていくタイミングで一緒に…………待てよ? もし今いる人がこの部屋の主だったら……私見つかると剥製にされちゃう!!? ど、どうしよう、後ろ付けても見つからないかな? 今の足音は私を探してる訳じゃないかな? 私が息を潜めているともう一度扉が開く。よし、今なら外に出られるね! いや! 後ろ振り向かないで!! はあはあ、良かった。見られずにすん……だけど外に出られなかった……。


 ぐすん。さっきまで明るかったのにさっきの人が出ていく時に光を付ける魔道具を消したから部屋が真っ暗になっちゃった……。助けて龍馬ーーー!!!


 ガチャ


「…………何やってんだ?」

「ピィー!?」

「いや、鳥かよ……」

「れ、レオン……」


 私が心の中で叫んだ瞬間扉が開くからビックリして奇声を発してしまった……。なんだ……レオンか……。


「おい、人の顔を見て露骨に残念そうな顔をするんじゃないよ」


 そう言われても龍馬かサクラに来て欲しかったのだから仕方ないでしょう?


「そっか、そういう態度をとるなら扉を閉めて鍵かけてやろうか?」

「ごめんごめん。レオンありがとね」

「はぁ……」


 ちょっと! なんで溜息つくのさ! お礼を言ったのに酷くない?


「なんで囚われた振りしてたんだ? サクラに構って欲しかったのか? それなら俺で悪かったな」

「振り……?」


 囚われた振りじゃなくて囚われてたと思うんですけど?


「はぁぁあぁぁあ」

「な、なんでそんなに溜息つくのさ!」


 レオンがいじめるってサクラとライアスにチクってやる!


「お前あれ見ろよ」

「あれって窓?」


 そう言ってレオンが窓の方を示す。窓がどうしたのかな? 鍵がかかっているのは確認したし外にはでられ………………。


「あーーーーー!!」

「本当に気付いてなかったのか……」

「え、えへへ?」


 いや、うん。全く閉じ込められてないじゃん! 窓の鍵手前にあるじゃん!! すぐに開けて外に出られたじゃん!!! ショックで頭を前足で抱える。は、恥ずかしい……。


「おおー。これがサクラの言ってたごめん寝か。フューズ。わざわざありがとな」


 レオンが何か言ってるけど恥ずかしさが勝って何言ってるのか頭に入ってこない。もう一つの気配を感じてハッとする。しまった! 今姿消してない! 剥製にされちゃう!!


「セレシア様。剥製になんかしませんよ。安心してください」

「へっ?」


 あれ? 私声に出てたの? というかこの人ってフェ……ファ……フュ…………フューズってサクラの先生だ!


「それにしてもなんでこんなところに居るんです? もしかして私の研究対象になってくださるのですか?」


 それって……。一瞬壁を見てから思いっきり顔を横に振る。


「それは残念です。次は迷い込まないように注意してくださいね」


 髪を掻きながら扉を開けてくれるフューズ。


「ご、ごめんね? それと出してくれてありがと」


 うひゃー。恥ずかしー!


 レオンと寮の途中まで一緒に歩く。


「そういえばレオンはどうして私があの場所に居るって知ってたの?」

「セレスがフューズの教本の上で寝てるのが見えたからな。最初は巫山戯てるのかと思ったけどサクラも近くに居なかったし。さっきフューズを見かけた時に気になって声をかけたんだ。……フューズも気付けよって感じたけどな」

「あ、ありがとう……」


 寝ぼけながら枕に頭を乗せた気がするよ。硬かったのは教本だったからなんだね……。


「ま、今度何かあったらネタにしてやるから安心していいぞ?」

「全く安心できないよ!?」


 今回ばかりは悪いの私だけど納得がいかない!! サクラと龍馬には秘密にしててね?


 -はぁ……-


「? レオン溜息ついた?」

「いや? 思いっきり呆れてるし溜息もつきたいけどまだだぞ?」

「いや、溜息つかないで? 幸せが逃げるよ?」


 この後レオンと別れて寮に戻るとサクラがカティに威嚇されてる場面に出くわしたのであった。

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