第87話 双子の神
私とセレスが鏡に触れると一度鏡が輝いた。眩しくて一度目をつぶると創造神様が現れる。
現れた創造神様は想像以上に綺麗な
「やっと呼んでくれたー! セレスちゃん久しぶりー!」
……とても神々しく……。
「サクラちゃんもやっと会えたわね! ずっと見てたのよ? きゃー! 本物だと
……神々しく?
「お母さま、「ママと言いなさい!」……ママ、サクラが困ってるよ」
創造神様は一目見てセレスに抱きついたあと、私にも抱きついて来た。私が驚いてる間に頭を撫で頬擦りをして……。
「イメージとまったく違った!」
思わず叫んでしまった私は悪くないと思う。
―――
「えー、コホン。私がこの世界の創造神よ! 名前はオリジン・シアン。オリディアと呼んでね!」
ビジッと決める創造神……オリディア様。……見た目とのギャップが凄い。残念美人とはこの
「まずはサクラちゃん。セレスちゃんを救ってくれてありがとう!」
「いえ、セレスの為ですから。でも、オリディア様はセレスを助けることはできなかったんですか?」
神が相手にしては棘っぽくなってしまったかな? しかしオリディア様に気にした様子は無さそうだ。
「うん。私がこの世界に干渉できるのはこの鏡の試練を突破した報酬をあげる時と、世界が滅びる時だけなの。創ったの私なのに! おかしくない!?」
私に言われても知らんがな。神様にもルールみたいなのがあるのか。……世界が滅びるって割と物騒だぞ? そこまでいかないと干渉できないなんて。
「セレスちゃんが死ぬと世界が滅びるから時間を巻き戻せるんだけど何度巻き戻してもセレスちゃんが死ぬ運命が変わんないし、あのバカが干渉してきた所為でセレスちゃんが魔王化するようになっちゃうし! 他の世界に隠れて干渉してセレスちゃんを救う方法探そうとしたけどみんなセレスちゃんを倒そうとするだけで救ってくれないし! あ、でもやっと引き抜けた魂があなた達で良かったわ! セレスちゃんもこの世界も救われたし! あ、そうだ向こうの世界に戻りたい? 今なら帰してあげられるわよ?」
待て待て待て待て、情報量が多いよ。愚痴かと思いきやだいぶ重要な情報があったぞ?
「情報量が多すぎです。一つ一つ聞いていいですか?」
「いいわよ?」
「では、セレスが魔王化する原因になったあのバカって誰です? 殴り込みに行きたいんですが」
「ああ、すでに罰は与えてるし、なんならセレスちゃんがぶっ飛ばしてるわよ? サクラちゃんも殴り込みに行けばいいじゃない」
そんな近くに創造神の邪魔をできるような存在がいたの!?
「ああ、そういえば知らなかったわね、サクラちゃんの父親のことよ。記憶も能力も封印してから下界に落としたの」
そうか。アービシアがそのバカなんだね…………なんですと!? アービシアは元神がだったの? ……え、……それって私も神霊と同じ神の子ってことじゃ?
「そうよ? 神の血筋でもない子が私の創ったスキルに干渉できるわけないじゃない」
あははと笑うオリディア様。笑い事か? ……私が何か変わる訳じゃないし、おかげでセレスを助けられたのならそれでいいのかな? ……そんなことより後でギルドの地下牢に行ってアービシアを殴ろう。
「それでアービシアはどんな干渉したんですか?」
「そうねえ。どうせなら一から話そうかしら。実は私には双子の弟がいたのよ。名前はアビス・シアン。つまりアービシアのことね。もともと天才で素直な子だったんだけど双子ってこともあって他の神達に比較されて生きてきたのよ。ほら。私ってアービシアを超えた天才じゃない? 私に負けるたびにアービシアの性根が曲がっていっちゃってね。悪さをするようになったから封印することになったのよ」
自分で天才っていうのか……。それは置いといて何千年、下手したら何億年もの間嫉妬し続けて、徐々にねじ曲がっていったのか……。
「それで、アービシアを封印するために創った世界がアビスフィアよ。下界では訛ってアースフィアに名前が変わっちゃったけどね」
そうだったのか……。封印した割には人として生きていたよね?
「それは力を蓄えさせないためよ。適宜表にだして顕現する力を消費させることで封印を破るための力を得ないようにしていたの」
えっへんと胸を張るオリディア様。美人なだけあってどや顔も絵になるね。
「それでね、アービシアを封印するときに七つに力を分割して復活しにくくしたのよ」
「それが神霊……」
「さすがサクラちゃんね! その通りよ! アービシアの神力を傲慢、憤怒、強欲、色欲、嫉妬、暴食、怠惰に分けた後、依り代として子供達に渡したの。子供達には抑えるための専用のスキルも渡したし、ちゃんと害にならないように調整したはずだったんだけど……」
「セレスに渡した怠惰だけ調整しきれなかった?」
そのせいでセレスは苦しんできたの? ちょっと怒りが湧いてくるけどセレスが怒っていないなら私が怒るわけにはいかないよね。
「そうなの。セレスちゃん不甲斐ないママでごめんなさいね」
しょんぼりとするオリディア様。セレスはどう思っているのだろうか。
「ううん。気にしてない……とは言えないけど特別な出会いがあったから許すよ」
「セレスちゃんありがとうー!」
感極まってセレスに抱き着くオリディア様。感情豊かな神様だね。セレスが許すなら私も許すしかないね。
「元々私がセレスちゃんに渡したスキルは
存在ごとってことは今のセレスが消滅するってことだよね? ……それは私がスキルを変えられて良かった。
「セレスが死ぬと世界が滅びるってのは?」
「私は子供達にそれぞれ大切な物の管理を任せているの。例えば、レオンちゃんには光の管理を、セレスちゃんには植物の管理をって感じね」
「じゃあ、神霊の内一人でも欠けると……」
「世界に必要な要素が消滅するから世界は滅びるわ」
SDSの世界で魔王を倒すと直ぐに次の周に切り替わっていたのは魔王を倒して万々歳で次の周に移行したのではなくて、セレスが死んで世界が滅びていただけだったのか……。
世界を救うつもりが世界を滅ぼしていたなんて、知らなかったとはいえシャレにならないな。
「実は世界の巻き戻しもね、ノーリスクじゃないのよ。一度巻き戻す度に世界の耐久値みたいなものが減っていってね。この世界が耐えきれるのが七回までだったの。今回でセレスちゃんを救えなかったら世界ごと創り直す必要があったから間に合ってくれて良かったわ」
SDSの七周目を始める時にセーブデータを消してやり直しができなかったのはこれを再現していたのかな……。つまり、日本にあったSDSが……。
「他の世界に干渉したって言うのは……」
「そうよ。サクラちゃんとライアスちゃんの居た世界のことよ。干渉といっても他の神にバレるわけにはいかないから、できたのはこの世界のイメージを送るだけだったのよ。でもゲームだっけ? 面白いわよね! 私の
ええ、怒られたってなにやっているのこの神様……。
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