妖怪パンツおいてけに遭遇したときの対処法と遭遇事例

加賀山かがり

被害報告書


 近年、夜道で突然「パンツおいてけ」と声を掛けられる事案が急増している。


 特にこれと言って、取り立てるような話でもないのだが、不思議なことにその報告例の中にいくつかの奇妙な報告が合ったりもする。


 今、そもそも夜道で突然「パンツおいてけ」と声を掛けられること自体が奇妙以外の何物でもないだろうと思った諸兄諸姉、それは正しい感想だと思う。


 ともかく、ただの不審者騒動として済ませることが出来ない奇妙な報告の一部を見ていこうと思う。


“幼い少女のような声だった”


“靴音はしたけれど、とても成人男性の足音とは思えない軽い音だった”


“振り返ってもどこにも姿が見えなくて、気が付いたらなんだかよく分からないものに押し倒されてパンツを剥ぎ取られていた。風のようだった”


“あわよくばブラも持って行こうとしていた。危うく路上で裸にされかけた”


“私は下着を全部持っていかれたけれど、下着をはぎ取られた後キチンと服は着せてもらえた。ノー下着で帰り道を歩くのは非常にスリリングだった”


 などなど、そのほとんどが恐怖を訴えるものばかりだ。


 だが中には――、


“よく分からなかったけれど、素直におパンツを脱いで渡したら、大人しく去っていったから、替えのパンツさえ在れば恐れるに足らない”

 や、

“履いているパンツじゃなくて、たまたまコンビニで買ったばっかりの新品のパンツを差し出したら満足そうな笑い声と共に去っていったよ”

 なんて証言もあった。


 以上のことを踏まえると、この「妖怪パンツおいてけ」に対しては抵抗せずに大人しくパンツを渡す(新品、古品に関わらずパンツであるならばなんでもよい)ことで穏便に無力化できると言えそうだ。


 もしこのレポートを読んでいる諸兄諸姉がいるとするならば、頭の片隅にこの対処法を止めておいていただけるように願っている。


 いくつかの証言をまとめて、下記に適切な対処法とそうではない対処法を詳しく記しておく。


 どうにか参考にされたし。

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