第16話 僕は逸材かもしれない

さて、天城由良こと僕は今日も今日とて配信を付ける。ここ最近は件の女装事件からしばらく経ったせいで色々落ち着いている。


あの時はDXではプチバズりしてトレンドにもなったものだが、今やその影もない。


思ったより人の興味はすぐ尽きるものか。女装は苦しいけどなんか悔しい…ビクンビクン。


そんなある日、配信中に気になるコメントを見つけた。


『お世話になっております。タレント事務所fairy pumpkinと申します。よろしければDMにて会話出来ませんでしょうか?』


た、たれんとじむしょ…?


これが流れた瞬間、コメントの勢いは加速する。


『fairy pumpkin!?!?』

『妖精カボチャきちゃあああああ!』

『ついに商業デビューか…』

『女装はよ』


なんだこの流れは。

どうやらこの事務所はそれなりに有名なとこらしい。らしい、というのも僕は他人に迎合するような軟弱者では無い為、こういう情報は絶っているのだ。


「ふん、ぬるいぬるい」


しかし僕の視聴者はあんまり僕に優しく無い。


『めっちゃニヤついてて草』

『なにがぬるいだよwww』

『クソ嬉しそうで可愛い』

『女装はよ』


ぬぬぬ、こいつら最近どんどん太々しくなって来やがる。


「えーっと、ふぇありーぱんぷきん?の方。取り敢えず後々DMで連絡しようかなって思います」


と言ったところで今日の配信は終わった。


早速先ほどのDMを送る。


『お世話になっております。私fairy pumpkinの須藤と申します。この度はご連絡頂きありがとうございます』


社会人の圧エグいて、こんな文章よくすらすら書けるな。


『早速ではございますが、本題に入りたく思います。単刀直入に申し上げますと、うちの事務所で新たにアイドル配信グループを立ち上げるのですがそこに参加致しませんか?』


「あ、アイドル?」


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