第275話 見つけたあああああ!!!

「――きたっ! ――ぐあ」


 突然、脳内に膨大な情報がなだれ込んでくる。

 そして見る見るうちに神力が消耗していくのが分かる。あ、頭痛え。

 でもほんの5分でも持ってくれればそれでいい。


 オレは意識を集中させ、脳内のリソースをすべて視覚に集中させた。

 いや、視覚というのは語弊があるかもしれないな。今感覚を共有してるのは、スペース家の「壁」なんだし。


 頼む。見つかってくれ――。

 そして無事でいてくれフィーネ。


 始まりは、どうやら誰かの私室のようだ。

 エリアに頼んだわけだし、エリアの部屋か?

 とすると――ああ、ここか。


 オレはエリアが見せてくれた地図のコピーと視覚(壁)をすり合わせながら、徐々にスペース家の神殿の全体像を把握していく。

 なるほど、ここから先はスペース家当主と夫人以外立ち入り禁止だっていうエリアの1つだな。


 オレは慎重に感覚を滑らせながら、少しずつ中の様子を掴んでいく。

 疲労と頭痛と神力的にはさっさと進んでしまいたいが、なんせこの先は何があるのかまったく分からない。


 だが、意外にも、その立ち入り禁止領域はいたって普通で。

 部屋がいくつかあるだけだった。

 まあ、膨大な数の鍵付き書物や神様アイテムのようなもの、それからいくつかの魔法陣らしきものを察知したので、本当に普通の部屋、というわけでもなさそうだが。

 しかし少なくともフィーネが閉じ込められている様子はない。


 ――こっちは外れだったか。

 それならこっちはどうだ!?


 オレはいったんエリアの部屋へと感覚を戻し、今度は別な方向への探知を開始する。

 こうしてあちこちに点在する立ち入り禁止領域を調べて。そしてついに――


「――いた!!!」


 フィーネは、地下へ続く隠し通路の先にある一室にいるようだった。

 ちなみに「ようだった」という表現しかできないのは、その場所がエリアの部屋からあまりに離れていたから。

 そのため力が及びづらく、様子がぼんやりとしか分からない。

 が、少なくとも牢屋のような劣悪な環境ではなさそうだ。


 フィーネは、ドアの辺りで誰かと言い争っている。


 ――と、とりあえず無事みたいでよかった。 いったい何を話してるんだ?

 なんか脅されてるとかじゃないよな?

 頼むから、助けに行くまで耐えてくれ――!


 オレはその様子を【記憶SHOT】で撮影し、エリアの部屋まで視界を戻す過程でも可能な限り撮影して、いったん壁との感覚共有(?)を切断した。


 こ、これって証拠になるよな!?

 ええと、まずは誰に言うべきなんだ? エリアか?

 いやでも万が一おかしな行動でも起こされたら――


 ここはやっぱり、フォルテさんに渡すのが賢明か……。

 こんな勝手な行動して、間違いなく怒られるだろうけど!!!

 でも今は、そんなことは言ってられない。

 フィーネが何か言い争っているように見えたのが気になる。

 ひどいことされませんように……。


 オレは覚悟を決めて、フォルテの部屋へと向かった。


「――フォルテさんっ!」

「!? なっ、悠斗くん!? 部屋に入るときはノックぐらいしてちょうだい。お客様がいたらどうするつもりなの?」

「ご、ごめんなさい……って今はそれどころじゃなくて! フィーネの居場所が分かりました!!!」

「――なんですって?」

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