第239話 この面白可愛い子を守りたい
「そうそう、私たち、ハルト様には聞きたいお話がたくさんありますの」
「そうよね! 転生者が名門神族に入ったなんて話、聞いたことがないもの」
「え、ええと……」
こうしてオレは、お茶会の間プラネとティマ、リオスに質問責めにされることとなった。
力に関する詳細など具体的なことはフォルテさんに口止めされているため、前世の話や転生者としての視点で感じたことなどでどうにかやり過ごす。
フィーネは素知らぬ顔をしていて、助けてくれる気配がまったくない。
「――とてもつらい思いをしてきたのね。なのにこんなに頑張って……偉いわ」
「転生者で【何でもしてくれるモフモフ】を与えられたってことは、本来なら一生遊んで暮らすこともできたでしょう? なぜランクAに?」
「いやあ……ハクをちゃんとした形で家族に迎えたいと思ったんですが、ランクBにならないと無理だと知って」
神族にとって、【何でもしてくれるモフモフ】が神様アイテムであるというのは共通認識らしく、その発想はなかったと驚かれてしまった。
……もしかして、人間の感覚で言えば「お掃除ロボットを家族に迎えた人」みたいな感じなのだろうか?
いやでも、ハクはあんなに感情豊かで可愛いわけで……。
「こんな逸材、よく見つけたわねフィーネ。羨ましいわ」
「あー……あ、ありがとう。救済カタログで偶然見つけて、この子はきっと逸材だろうと思ったの」
嘘つけ!
手がすべって間違っただけのくせに!!!
「そういえば、ハルト様はやっぱり今もフィーネ様がお好きなのかしら? あなたなら引く手あまただと思うけれど」
――ぐふ。
いきなりだな!
思わず紅茶ふきそうになるからやめてくれ……。
「たしか、あのモモリンやオレンの創造者さんなのですわよね? それに神様活動の改善にも大きく貢献してらっしゃいます。それだけの才をお持ちなら、転生者であってもどの家も無碍に断ることはないと思いますわ」
「……あ、ありがとうございます。名門神族の方々にそう言っていただけて光栄です。……でもまあ、オレはフィーネが好きなんです。ランクAになったのも、フィーネと並びたかったからで……。今も必死で口説いてるところです」
「まあ……!」
オレのその言葉に、3人は口に手を当て、キラキラと目を輝かせて頬を染める。
正直俺も恥ずかしすぎて顔が熱いが、ここは今後のためにも明言しておくべきだろう。
チラッとフィーネの方を見ると、3人の数倍真っ赤になってふるふると震えていた。
こいつ、気にしてないふりして実はめちゃくちゃ話聞いてるな!?
「ああ、羨ましいわ。そんな恋愛したことないもの。私も婚約者はいるけれど、名門神族の婚約なんて――ねえ?」
「こんなふうに熱烈な感情を抱けるのは、転生者ならではなのかもしれないわね」
「フィーネには婚約者もいないのだから、受け入れて差し上げればよろしいのに」
「なっ――! う、うちにもいろいろ事情ってものがあるのよ。私だって――」
フィーネはしどろもどろになりながら何か言っていたが。
最後の方は誰にも聞き取れないほど小さな声になってしまった。
――まあ、オレは言いたいことは分かってるけど。
だからこそ。
フィーネが抱いてくれた気持ちを無駄にしない存在になりたい。
いつかはバースさんのように、ちゃんと守れる存在に――
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