第238話 こいつやっぱり使えねえええええ!

 案内された部屋では、すでにほかの参加者3名がテーブルを囲んで談笑していた。

 部屋には大きな窓があり、そこからやわらかな日差しが差し込んでいる。


「おいフィーネ、全員女性じゃねえか」

「今回はたまたまよ」


 フィーネにひそひそ声で抗議するも、さらっと流されてしまう。

 神族は人間ほど性別を意識しないらしいし、フィーネにとっては大した問題じゃないのかもしれない。けど!


 オレにとっては大問題なんだが!!!

 というかめちゃくちゃ好奇の目で見られてる!!!!!


「フィーネ! 来てくれてありがとう。どうぞ入って」

「お招きありがとうプラネ」


 フィーネとともに部屋に入ると、残りの2名も立ち上がった。


「改めて紹介するわ。新しくうちに加わったハルト・リエンカよ」

「は、初めまして。ハルト・リエンカと申します」

「初めまして。プラネ・スターティアと申します」

「プラネは星を司るスターティア家の第一令嬢で、今回の茶会の主催者よ。そして左にいるのが時と運命を司るクロノス家の第三令嬢ティマ、右にいるのが自然を司るナチュラ家の第二令嬢リオス」


 プラネとティマ、それからリオスか。

 フィーネが親しい神族たちだって言ってたし、頑張って覚えないとな……。

 プラネは艶やかな藍色の髪、ティマは白に近い金髪、リオスは美しい黄緑色の髪をしている。


「ハルト様のお話は以前からフィーネに聞いていて、とても気になっていたの。ようやく会えて嬉しいわ」

「ああ、いや、ええと……よ、よろしくお願いします」


 例に漏れず超絶美人な令嬢たちに笑顔と期待の眼差しを向けられ、返す言葉を探す余裕がない。

 チラッとフィーネを見ると、呆れた様子でオレを見ていた。


 くそっ! 助けてくれるって言ったのに!


「ふふ。リエンカ商会のお菓子とお茶は、今やお茶会の定番なのよ? あれ、ハルト様のオリジナルなのでしょう? 今日のお茶もそうなの。お菓子はうちの自家製のものもあるけど、でもリエンカ商会のものにはなかなか勝てないわね」

「気に入ってくださって嬉しいです」

「ハルト様と直にお話できるなんて、鼻が高いですわ」

「ええ……いやそんな、オレはただの転生者からの成り上がりなので」


 なんだこのめっちゃちやほやされる感じ!!!

 好感を持ってくれるのは嬉しいけど、不慣れすぎて反応に困る。

 というかフィーネ本当何か言ってくれ!!!

 なんで我関せずな感じで優雅にお茶飲んでるんだ……。


 そう思っていたが。


「お2人はその――婚約なさってるの?」


 プラネのこの言葉に、オレもフィーネも思わず咳込む。


「はあっ? な、何言って――」

「だってほら、ハルト様の告白の話」

「あれだけ大胆な告白をされたってことは、それだけ仲が進展してるってことですわよね?」

「――ち、違うわよっ! あれは神乃悠斗が突然っ……私はこんな口うるさい転生者になんて興味ないわよっ」


 おいこら誰が口うるさいだこのぽんこつが。

 ――と言いたいところだが、ここで喧嘩になるのはよろしくない。

 ここは適当に誤魔化して――


「あらそうなの? それじゃあ、私たちにもまだチャンスがあるってことかしら」


 ――――は?

 んんんんんんんんんんん???

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