第143話 ランクBに昇格――した!?
こうして地道な活動を続けて3か月ほど経ったある日。
「悠斗くん、今日はもうお仕事は終わり?」
「ええ、そのつもりですが」
「仕事終わりに悪いのだけれど、これから私と一緒に来てくれないかしら」
「? はい、分かりました」
な、なんだ?
というかこんな偉い神族と一緒に行動するとか緊張するんだが。
オレなんかしたかな。
フォルテは机の上を片付け、部屋を出たかと思ったら支度をして戻ってきた。
「こっちよ。大神殿に向かうわ」
「だ、大神殿? って何ですか」
「神界の中枢となっている神殿よ」
「!? え、あの……?」
「心配しなくても大丈夫よ。悪いことじゃないわ」
――そ、そうなのか?
ならいいけど。
オレはフォルテの後に続き、神殿内に設置されている【神殿への門:大神殿】から大神殿へと向かった。
そこは真っ白に輝く不思議な空間で。
窓からは、程よく晴れた空と若々しい緑に包まれた木々が顔を覗かせている。
外から水の音がしているのは、近くに滝か何かがあるのだろうか?
時折、真っ白な鳥が羽ばたきながら美しく鳴き声を響かせている。
――天国という場所が本当に存在するなら、きっとこんな場所なんだろうな。
オレはあまりにも現実離れした美しさを放つこの場の雰囲気にのまれ、呆然としながらそんなことを考えていた。
「――悠斗くん、大丈夫? ここは神界でも最も神力が濃い場所なの。だから神族でもたまに神力酔いしてしまうことがあって――」
「ああ、いえ、すみません大丈夫です。ただ、あまりにも美しい光景でびっくりしたっていうか」
「ふふ、そういうことならよかったわ。こっちよ、ついてきて」
広間から進んだ先にある大きな扉に触れると、扉がサラサラした輝く粒子となって消えていく。
そしてフォルテとオレが通過すると、何事もなかったかのように再び扉が現れた。
お、思ってた扉と違う……。
扉の概念が崩壊しそうになる中視線を前へ戻すと、そこには金髪の美しい女性が立っていた。
いつも思うけど、神族の顔面偏差値の高さはちょっと異常だと思う。
見た目にコンプレックスを抱える全人類に謝れ!!!
――嘘ですごめんなさい。
「母様! その子が神乃悠斗くんね?」
「ええそうよ。――悠斗くん、紹介するわね。うちの長女のクリエよ」
「初めまして。クリエと申します。よろしくね」
「は、初めまして。よろしくお願いします……」
な、なんだ?
なんで連れてこられたんだ?
たしか長女ってランクSの神族なんだよな?
もしかしてついに試験が始まる――とか?
「モモリン、いつもおいしくいただいてるわよ~」
「あ、はあ。どうも……」
「うふふ、緊張してるみたいね。可愛いわ~」
「え、ええと、オレはなぜここに……?」
「あら? 母様から聞いてないの? ランクBへの昇格が決まったからよ。おめでとう、神乃悠斗くん♪」
――――え?
はああああああああああああああああ!?
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