第34話 神様だとカミングアウトした結果
森精霊たちに手伝ってもらって村を作り始めてから5日。
村はすっかり完成していた。
す、すげえ。
本当に5日で作った……だと……。
住民がいないためまだ空き地が多いが、アパートや宿屋、店舗用物件などいくつかの建物は既に建設されている。
道はうちを起点として今回作った新しい村、森へと続き、グノー村へと繋がっているようだ。
今まで森の中は木が生い茂っていて、あちこち岩や根っこが障害物となり歩きづらかったが、道として整備されたことでかなり快適になった。
また、川には橋もかけられている。
「見事なもんですね」
「ありがとうございます。ハルト様のご自宅がログハウス仕様ですので、それに合わせて違和感のない形、窮屈さを感じさせない形を目指しました」
実際、村とはいっても建物同士が程よい距離感を保っており、川や木々、草原など自然もしっかりと残されている。
果てしなく広大な土地の中で、これまでどうしても地に足がついていない感覚を消すことができなかったが。
しかしこうして道で繋がると、ここが自分の領域なのだと改めて実感できる。
「それにしても、ここには本当に、驚くほど誰もいませんね。いったいここはどういう場所なのでしょうか……」
アスタは不思議そうに周囲を見回す。
ここに来てからグノー村を作り、立て続けにこの村を作るという大仕事が続いて、今まであまり気にしていなかったようだが。
ここにきて改めて違和感を感じたようだった。
まあ、森精霊以外の住民はオレとハクしかいないのだから当然だろう。
――オレが神様でこの土地、というよりこの星のすべてを管理してるって言ったら、森精霊たちはどう思うんだろうな。
というかそもそも、神様なんて言って信じてくれるのか?
でもたしかに、さすがに今のこの状態は不自然極まりない。
黙っていることで余計に不安を煽ってしまうかもしれない。
「――実は言ってなかったことがあるんですが、聞いてくれますか?」
「? はい、何でしょう?」
「その、変な奴だと思わないでほしいんですが、オレ実はこの星の神様なんですよね」
「「「「「!?」」」」」
森精霊たちは、全員驚いた様子で硬直している。
「……え、ええと、それは何かの比喩とか、そういうのではなく?」
「なく。で、ハクはアイテムで神獣です」
「です」
ハクは隣でうんうんと頷いている。
森精霊たちはしばらく固まっていたが、オレやハクの今までの行動、そしてこの星の状況からどうやら本当だと理解してくれたらしい。
話が早くて助かるな。
しかしそう思ったのも束の間、皆一様に激しくうろたえ、そして慌ててひれ伏した。
「た、大変申し訳ありませんでしたっ! まさか、まさか神域に立ち入ってしまっていたとはつゆ知らず……。どうかお許しください……」
し、神域……?
「あ、いや、ここはべつにそういう場所では――」
なるほど。
フィーネが天空の神殿をくれた理由が今になって分かった。
ここはオレの星ではあるが、オレはここに住んではいけなかったのだ。
――というか! もっと分かりやすく説明しろよ!!
こっちは神様歴1か月ちょいの超絶初心者なんだぞ!!!
森精霊たちは全員、顔を伏せたままガタガタと震えている。
天罰がくだるとでも思ってるのだろうか?
こういう時、どうしたらいいんだ?
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