第26話 森精霊の村「グノー村」

 森精霊たちがこの星にやってきて3日後。

 若い男女の森精霊が2人、うちにやってきた。


「ハルト様、先日は助けてくださり、素敵な住処を与えてくださり、本当にありがとうございます。村が完成しましたので、ぜひともご招待したいと」


 早いな!?

 まだ3日しか経ってないはずだが――というか、あれ!?


「え、えっと、この間会った時は30㎝くらいだったような……」

「それがですね、以前暮らしていた森ではエネルギーが足りず、省エネ化のためにあの姿だったのですが、この森はエネルギーに溢れていまして。この姿でも問題ないだろう、ということで本来の姿に戻ることにしました」

「それもこれも、すべてハルト様のおかげです。本当に、なんとお礼を申していいやら」


 そういうことだったのか。

 この星は鉱石力が豊富らしいし、きっとその力と相性が良かったんだな。


「気に入ってもらえてオレも嬉しいよ。じゃあ、早速案内してくれるかな」

「はい!」


 オレとハクは、2人に案内され、この星初めての村に到着した。

 村の入り口にたどり着くと、そこには森精霊たちが待っていた。

 長老フォーレの姿もある。

 先ほどの2人だけでなく、みんなオレやハクと変わらないサイズになっている。


「こんにちは、フォーレさん。すごく素敵な村ですね」

「ありがとう。これもハルト殿のおかげじゃ。」


 そこには素朴ながら感じのいい家や店が立ち並び、たった3日で作ったとは思えない素敵な空間が広がっていた。


「どうぞご自由に見学していってくださいね。お食事や、少しですがお礼の品もご用意いたしております」

「ハルトさま! すてきな森をくれて、ほんとうにありがとうっ」


 みんなが心の底から喜んでいるのがひしひしと伝わってくる。

 前世では、何をやっても感謝なんてされなかったのに。

 そのうえ何かと理不尽に舌打ちされたり罵倒されたりして、心の中にドロッとしたどす黒い感情が溜まっていったのを覚えている。

 自分は何をしてもダメなのだと、諦めきっていた。


 ――オレでも役に立てたのかな。これは――嬉しいな。


「こちらこそ、この星に来てくれてありがとう」


 オレは溢れそうになる涙を必死でこらえ、改めて森精霊たちに心から感謝の意を伝えた。


 そしてオレとハクは、先ほど迎えにきてくれた2人とともに、村の中を散策することになった。

 歩きながら、現在32名の森精霊がいること、村の名前は「グノー村」と決まったこと、森精霊は植物だけでなく土など森にあるすべてを操ることができる精霊であることなどを教えてもらう。



「ハルト様、ハク様、おなかが空きませんか? その先にある食堂に食事をご用意しておりますので、一休みしませんか?」

「おお、いただくよ」

「では僕もいただきます」


 案内されたのは少し大きめの建物で、中に入ると中央に大人数用のテーブルが1つ、その横に小さめのテーブルがいくつか設置されていた。

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