少子高齢化──取リ残サレシ僕ト君

ふるなる

少子高齢化──取リ残サレシ僕ト君

 ここの住人は昔のようだ

 調子好調なお年寄りの巣窟

 認知患わった彼らは記憶喪失

 どうしようもなく役立たつな僕

 記憶がないのは僕も君も同じようだった


 彼らとの間には壁がある

 長い時の壁がある

 若人には分からない昔の常識がある

 募るのは虚しさと時間

 学ぶのは媚びへつらった態度

 辛いとか感じるのも疲れた


 君と僕との間の壁は薄い

 取り残されし僕と君

 迷子にしか分からない我らの共有がある

 募るのは愛しさと恋心

 無くならない媚びへつったその態度

 暗い同士の似た者同士かもな


 ここの住人は昔のようだ

 少子高齢化の成れの果て

 信じられない程独孤な真相心理

 どうしようもない程弱っちまった僕

 しょうもない僕は君に凭れるしかなかった


 君に告白した僕は報われる?

 取り残されし僕と君

 選択肢はこれしかないし

 玄人には分からないこの浅はかな我ら

 募るのは虚無感と喪失感

 当たり前になっていく拵えた態度

 深い海にでも潜って行きたいよ


 ここの囚人は報われないようだ

 笑止

 恒例化していく日々の果て

 日々の2文字は日常に変わった

 どうしようもなく虚ろだなぁ

 しょうがないなんて言えなくなっちまった


 空しいだけの人生ならば

 「どうせならこのまま永遠に」

 君の馬鹿馬鹿しい意見すら聞き入れちまう

 いや違うぞ、奥底では持ってたんだり

 そんな自ら断つイレギュラーフィーリング


 君と僕とで自然から身を投げ捨てる

 放り投げられし尊し人生

 玄人には分からない浅はかな価値観

 捨てるのは生きてきた若い人生

 無くなったはずで絶対死んだ

 不思議と2人はその場で生きていたんだ


 ここの死人は昔のようだ

 生死

 降霊をした幽霊が蔓延る最果て

 老衰死の中に混じった僕ら2人

 どうすることもなく虚無に墜ちる

 しょうがないでは締めたくはないんだよなぁ


 空しいだけの自殺者なもんで

「どうせなら死のう」と考え消えた

 その先に待ち構えてた死人の住む世界

 いつしか愛方、どこかへ輪廻

 老人達の中でただ1人で暮らす虚しい日々


 死にたくても死ねない辛い日常


 そうして僕は、


 人の人生を万回ぐらい生きた。


 いつしか感情を失い、


 中身がないからって、


 誰かが入る器にされてしまったようね。


 輪廻。

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