保育園のとき、うちの庭で少し感じたきりだった。

水滴のつかない窓 焦点が合わない屋上


三階から見下ろす 向かい合った音楽室


中庭に降り注ぐ 氷とも水とも言えない粒たちは


我先にと 白いその体を叩きつける


黒いコンクリートに その身を溶かして 目をつぶる


触れた瞬間 透明になっていずれ混ざる


彼らはわかっているだろうか


どうしようもなく冷たくて どうしようもなく熱くって


彼らは知っているのだろうか


どうしようもなく魅せられる 何十人もの人々を


彼女は知っているだろう


何年ぶりかの雪が降る

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