第4話   うっかり忘れていた魔窟の結界

 ☆

 引き継ぎの無いまま魔王になって数ヶ月が経った。


 屋敷の増築も終わり、ホッと一息ついていたとき、魔窟近辺の警護をしている騎士が駆け込んできた。



「人間が魔界に侵入しています」


「なんだって?魔窟は結界が張ってあるはずだろう?」



 そう言って、レオンはハッとする。


 オルビスに魔力がなくなっていたのは、もう何ヶ月も前の話だ。


 うっかりしていた。


 オルビスから魔王を引き継いでからは、レオンは魔窟に結界を張っていなかった。魔窟の結界は、何ヶ月も前から弱まり、今では完全に何もされていない状態になっている。



「人間は何をしている?」


「まだ魔界の様子を見ているようです。大群が押し寄せてくる前に手を打たねばなりません」



 このままでは、200年前の戦いがまた起きてしまう。



「今、魔界にいる人間を追い出すことは可能か?」


「全力で騎士が出ております」


「すぐに結界を張る」


「待ってください。今、結界を張ると、魔界にいる人間は戻っていけなくなります。できれば、現地まで足を運び、追い返してください。少し脅かせば逃げて行くでしょう」


「分かった。5分、待ってくれ」



 レオンは瞬間移動でアリエーテの部屋に飛んだ。


 キョトンとしたアリエーテに笑みが浮かぶ。



「おかえり」


「ただいま。ちょっと魔窟で問題が起きた。できるだけ早く戻るが、屋敷から出ないようにしていてくれ。面会も禁止だ」



 レオンはアリエーテに何重も結界を張り、アンジュにも結界をしっかり張って、フルスに警護を頼んだ。



「戻ってくるまで目を離さないように頼む」


「畏まりました」



 フルスはピシッと決まった敬礼をした。



「行ってらっしゃい。気をつけてね」


「おう」



 パッとレオンの姿が消えた。


 レオンはパトークとリムネー率いる騎士団を連れて、魔窟に飛んだ。


 人間達は、どうやら冒険者らしい。


 国営のギルドで魔窟を攻撃して報酬をもらっている者達のようだ。



「スライムもゴブリンも簡単に倒せたな。逃げた奴も多かったけど」


「魔界まで簡単に来られたけど、このまま魔界を攻撃してもいいのか?」


「ギルドで調査隊の募集が出ていたな。あれに参加しないとお金がもらえないぞ」


「一旦戻って、調査隊に合流しよう」



 人間は10人ほどのグループだった。


 興味深く魔界の様子を見ている。



「これ以上、入ってくるな」



 レオンは大声で叫ぶと、その後から騎士団が大勢現れて、その多さに驚いた人間達は剣を構えた。



「すぐに出て行け。殺すぞ!」



 レオンは声を凄ませる。


 騎士団達は少しずつ人間に近づいていく。



「おい、ヤバいんじゃないか?」


「逃げた方がいいんじゃないか?」


「ここで手柄を取ったら、祝儀が出るかもしれないぞ?」


「俺たちだけで、この数を倒せると思うのかよ?」


「無理、無理だって!」



 レオンは火球を飛ばして、枯れ木に火を放った。


 バチバチと音を上げて、枯れ木が燃え始めた。辺りが赤い炎と灰色の煙に包まれていく。


 パトークとリムネーも火球を人間に当たらない程度の場所に投げ込む。


 地面を転がる火球が、人間の足元に近づいていく。



「おい、やっぱりヤバいって、ギルドに報告してこよう」


「そうしよう」



 人間達は慌てて、魔窟の中に入っていった。


 レオンはすぐに局所的に雨を降らせて、燃え上がる火を消した。


 魔窟から逃げ出してきたゴブリン達やスライム達が姿を現した。



「すまないことをした。すぐに結界を張ろう」



 レオンは魔窟に結界を張った。


 まだ人間が走っているだろうから、徐々に強さを強めていく。10分待って、結界を最大にした。



「新しく魔王になったレオンだ」


「魔窟を管理しているゴブリンのカリンと申します。魔窟はもう何ヶ月も前から結界が切られておりました。人間達が、大勢で押し寄せてくる相談をしております。決行日は明日でございます」


「カリン殿、すまない。前魔王が倒れて、魔力が尽きていた。引き継ぎもされていなくて、魔窟のことを失念していた」


「ゴブリン一族も大勢、殺されました。スライムにいたっては、絶滅寸前です。現在の状態で魔窟を守ることはできません」


「明日、人間が押し寄せてくるなら、こちらも準備をしよう。迎え撃つだけの人数は揃えてきた」


「ありがたき幸せでございます」



 カリンは、恭しく頭を下げた。


 カリンだけ、特別に洋服を着ている。ゴブリン一族の長なのだろう。



「魔窟の中の怪我人を運び出してくれ」


「畏まりました」



 パトークとリムネーはレオンの警護をしている。


 よく訓練された二人の騎士団が魔窟の中に入り、怪我人や死体を運び出し始めた。


 カリンも騎士団と一緒に救助をしている。


 簡易のテントが張られて、治療のできる騎士が治療を始めた。


 被害は思った以上に酷いらしい。



「俺も一度、見ておこう」


「ハッ」



 警護の二人を連れて、魔窟の中を歩き、そこに人間の姿が残っていないかも確認していく。


 ゴブリンの住処は、ぐちゃぐちゃにされていた。小さな子供のゴブリンまで殺されていた。


 何と酷いことをするのだろう?


 魔王は、まず人間界から魔界を守ることが一番の任務だ。そのために。魔窟の結界を張って、人間が入り込めないようにしなくてはならない。


 人間界まで歩き、周りを窺う。


 シーンと静まった森の中だ。人の気配も見当たらない。



「人間の気配はありませんね?」


「それにしても、人間はまた争いをしたいのだろうか?」


「こののどかな場所を戦場にしたいとは、人間は愚かな生き物だな」



 パトークとリムネーは美しい景色を見て、話している。


 確かにこののどかで美しい景色を見て、戦争を起こしたいと思う人間の心理が理解できない。


 互いに歩み寄れなければ、近づかなければいい。



「この入り口にも結界を張っておこう。人間は魔窟に入れなくなるはずだ」


「それはいい考えでございます」


「今まで行われてこなかった、新たな改革ですね」



 レオンは魔窟の入り口に侵入できないように更に結界を張った。この結界を破れるものなら破ってみろと言わんばかりの、強い結界を張り、魔窟を通って魔界に出た。


 魔王の役目で引き継がれていないことが、まだあるかもしれない。


 オルビスはまだ意識が朦朧としているので、魔王をしていた父の元に行ってみようと思った。



「少し父上のところに行って来る。魔王の引き継ぎがされていない。少し聞いてくる」


「ハッ」



 二人の護衛は敬礼した。



 ☆


「父上、すみません。魔王の仕事を教えていただきたい。オルビスが倒れてしまって引き継ぎができていない」


「そうだったな」



 父は過去を思い出すように、指を1本立てた。



「魔窟の結界を張ることだ。後は、魔族が暮らしやすいようにすることだ。会議の時に部下達が集まって、修復の場所を報告してくることがある。それを承認するか延期するか決めていく。後は、舞踏会を定期的に行うことだ」


「結界以外は、それほど重要ではないのだな」


「ああ、そうだ」


「引き継ぎされていなくて、魔窟の結界のことを失念していた。明日、人間達が攻めてくるらしい」


「200年前の戦いが繰り返されるのか?」


「それは防ぎたいから魔窟の入り口に侵入できないように更に結界を張った」


「それは、今まで思いつかなかったな」


「破られることはないと思うが、明日は警戒していたい」


「オルビスの軍隊も連れていったらどうだ?魔王はレオンになった。王を守る騎士団が、まだオルビスの元にいるではないか」


「そうか、気が回らなかった」


「そちらの手配は父がしよう。レオンは魔窟にいなさい。指示を出す者がいなければ、騎士団は動けない」


「頼みます」



 レオンは魔窟の前に飛んだ。


 すぐにパトークとリムネーが傍らに寄ってくる。



「変化はあったか?」


「救助された怪我人が増えたくらいでしょうか?」



 パトークが報告をした。



「決戦は明日だと言っていたな?今夜は野営をする。手の空いた騎士達はその準備を頼む」


「畏まりました」



 リムネーが騎士達を集めて、命令をしている。



 ☆

 決戦の日、王を守る騎士団も合流した。


 ゴブリン達とスライム達は魔窟から避難させた。


 レオンは騎士団を連れて、自ら魔窟に入って行った。


 結界を挟んで向かい合った。


 ただ人間界からは、魔窟の中は見えないはずだ。


 魔窟の入り口には、武装した人間達が集まっている。武器で入り口を攻撃している。


 戦車や爆弾を使い入り口を破壊しようとしている。


 激しい爆撃の音が聞こえる。



「レオン様、大丈夫ですか?」



 パトークがレオンを気遣う。


 騎士団達も緊張している。ここを突破されたら戦いが始まる。



「ああ、これくらいはどうとでもない」



 レオンは魔術に魔術を重ねた。


 ここを破られてたまるかと、魔王の意地の見せ所だ。



「さすが魔王様です」



 今まで入れていた魔窟にすら入れなくなり、人間達は戸惑っているようだ。


 乱暴に爆弾で爆撃されたが、岩石でできた山は、そう簡単には壊すことはできないだろう。


 その上、侵入できないように結界も張られている。


「どういうことだ?昨日までは、ここを通ることができたはずだ」


「冒険者が10人、昨日、魔界に入ったそうです。武装した騎士団が並んでいたそうです。火の玉で攻撃されたとか」


「突入が1日、遅かったのか?」


「まさか、入り口さえ入れないようにされるとは」


「これは今までなかった事でございます」


「仕方あるまい。我々にはここに入る手段はない。この計画は失敗だ」



 騎士の団長は、潔く撤退していった。


 戦車が走っていく後ろを、騎士達や冒険者達が歩いて行く。



「どうやら、戦いは回避できたようだ」



 レオンはホッとしていた。


 戦いが起きれば、平和な魔界が人間達に壊されてしまう。


 200年前の戦いでは、魔界の魔族もずいぶん、人間に殺された。


 同じように人間も、殺されたはずなのに、人間は200年前の戦いを、もう覚えてはいないのだろう。


 記録には残っているかもしれないが、人間界と魔界では流れる時間が違う。


 寿命の違う人間の歴史は、すぐに塗り替えられてしまう。


 人間が立ち去った後に、レオンは人間界に出て、この魔窟の入り口を頑丈な大きな岩で塞いだ。


 目にすれば、攻撃したくなるだろう。


 岩で塞ぎ、木を生やし草で覆って、周りの景色と変わらないように変化させた。


 岩の上にも草が垂れてきて、苔も生してくる。


 長年人が歩き道になった場所にも隠すように森を造った。次々に木が生えて生長していく。すぐに下草が生えてくる。


 深い森は、魔窟のある場所を隠してくれるだろう。


 アリエーテとアンジュがいるこの時代に、戦争など起こしたくはない。


 平和な時代を過ごさせたい。


 パトークとリムネーは変貌していく景色を見て、魔王の力の強さを改めて見て驚いている。



「これで、魔窟の場所も分かりませんね」


「魔界が脅かされることもなくなる」


「人間は短命なのに、貪欲すぎるからタチが悪い」


「魔界を攻めて、何を求めているんだか?」


「長寿は種族の問題だ。魔族を殺したところで得られる物ではないのが、分からないのだろうな」


「200年前の戦いが再現されなくて、良かった」



 パトークとリムネーは二人で会話して、レオンの邪魔にならない場所に控えている。


 パトークとリムネーも200年前の戦いに、レオンと出ていた。


 戦いたくなくても、襲いかかってくる人間を、数え切れないほど殺した。


 得られる物はなにもないが、戦わなくては、仲間が殺される。


 仲間や家族の為、魔族の安全を守るために戦い続けた時代だった。


 あんな無駄な戦いは、二度と起こしてはならない。


 レオンは最後に雨を降らせた。


 新しく造った森に慈愛の雨を降らせ、しっかり木に根を張らせた。



「これでいいだろう。帰るぞ」


「イエッサー」



 二人はキリッと敬礼した。


 すっとその姿が消えた。



 ☆

 魔窟の外で待機していた騎士達に退去命令を出した。


 騎士団達は戻って行く。敬礼と共に、瞬間移動でさっと一団が消えた。



「カリン殿、魔窟の人間界側は入り口を塞いだ。これから人間が侵入してくることはないだろう。万が一、侵入してくることがあれば、教えて欲しい。新たに穴を掘ることも予想できるが、そのことも発見したら報告して欲しい」


「畏まりました」


「今回はたくさんの被害者を出して申し訳なかった」


「いえ、こちらも報告が遅くなりました」


「これからも、この地区を任せる」


「謹んで務めさせていただきます」



 カリンは、深くお辞儀をした。


 生き残ったスライム達やゴブリン達が、魔窟に戻って行く。


 カリンも魔窟に戻って行った。


 ゴブリンは人間や魔族のように家族を作り集団生活を行う。


 魔窟の中に新たな家を建てて、生活の再建をするのだろう。


 絶滅寸前のスライムも、すぐに増えるだろう。


 救護施設が壊されている。


 怪我を負ったゴブリン達を元気なゴブリン達が連れていったのだろう。


 レオンは落ちついた魔窟を見て、「帰るぞ」と声をかけて、消えた。


 護衛の二人の姿も一緒に消えた。



 ☆

 レオンは父のところに飛んだ。



「父上、ご心配をかけました。戦いをすることなく終えることができました」


「そうか、良かった」



 レオンは魔窟を岩で塞ぎ、魔窟のある場所を森で隠したことを説明した。



「これで、新たに人間が穴を掘り進めなければ、危害はないと思う」

「人間は執念深いから、その点だけは気をつけた方がいいだろう。だがいい方法を思い浮かんだな」


「ああ、今の時代に戦争を起こしたくはないんだ」


「アリエーテ妃の事は聞いた。転生はこれが最後なんだってな?」


「オルビスに聞いたのか?」


「ああ、そうだ」


「俺が魂の契約をしたから、これが最後の転生だ。王妃になれば、安全になるとは思うが、いつも心配でならない。四六時中、護衛を付けている」


「父も心がけよう。レオンがやっと捕まえた魂だ」


「頼む」



 レオンは父に頭を下げた。



「そうだ、オルビスの宮殿と入れ替わらないのならば、それなりの警備ができるように、魔王の騎士団を移動させねばならないだろう。屋敷は大きくなっていたようだったが、門から屋敷までの距離が近すぎる。攻められたときに、護衛が来るまでの時間稼ぎにならないだろう?」


「屋敷を見てきたのか?」


「ああ、気になって、外から様子だけ見てきた」


「アリエーテの護衛に行ってくれたんだな?」


「まあ、そういうことだ。レオンが公務で出かける時は、声をかけよ。孫の顔も見に行けるからな」


「それは助かる。アリエーテには攻撃魔法は使えない」


「何か魔法が使えるのか?」


「ああ、治癒魔法が使える。俺たちにできない炎症を抑える魔法が使える」


「ほう」


「だが、治癒魔法だけでは、身を守ることはできない」


「そうだな」



 レオンは再度、父に頭を下げた。



「公務の時は、子守に来てくれ」


「ああ、任せておけ。嫁の顔が見たいだろう?もう帰ってもいいぞ」


「そうさせてもらう。では」



 レオンの姿が消えて、パッとアリエーテの部屋の前に到着した。


 やっと会える。


 ノックをして、「俺だ」と声をかけて、扉を開ける。



「おかえり。夕べはお泊まりだったのね?すごく心配したのよ」


「ああ、魔窟で問題が起きて、少し大変だったんだ」


「人間が攻めてきたのね?」


「ああ、だが、魔窟を塞いできた。人間が新たな穴を掘らなければ、安全だろう」


「大変だったのね?」



 レオンはアリエーテの横に座ると、乳をもらって眠ったアンジュを抱かせてもらう。



「この時代に、戦争など起こさせないから安心して暮らしてくれ」


「やっぱり魔王になったら、レオンは忙しくなってしまったわ」



 まるで寂しくて仕方がなかったと告げているようで、アリエーテを愛おしく想う。



「落ちつくまでだけだ。まだ交代したばかりだからな。設備も整ってはいない。全て終わればのんびりできるだろう」


「お手伝いができることがあったら、言ってね。わたしも一緒に頑張るから」



 レオンは微笑んで、可愛い事を言うアリエーテを片手で抱きしめた。


 我が子を抱いて、愛する妻を一緒に抱きしめられる。この喜びがあれば、どんな苦労も苦ではないと思えた。



「アンジュを落とさないでよ、パパ」


「ちゃんと抱いているから大丈夫だよ」



 ドアの横に立つフルスの顔がにやけている。


 今にも吹き出しそうな顔をしている。


 1000年以上付き合いのある信頼の置ける部下だ。こんなとろけた顔など見せたことはない。


 そんなレオンの顔が珍しいのだろう。



「ああ、フルス。長時間、すまなかった。ゆっくり休んできてくれ。睡眠も食事もしっかり取れよ」


「畏まりました」



 フルスは頭を下げると、部屋を出て行った。



「旦那様、アンジュ様を寝かせますね」


「ああ、頼む」



 モリーがアンジュを受け取りに来た。レオンはアンジュを落とさないようにモリーに預ける。


 メリーが紅茶を置いてくれる。



「奥様、お茶を飲んだら、少しお休みくださいね。深夜の授乳はお疲れになりますから」


「そうするわ。少し眠いの」


「ああ、俺も一緒に寝る。昨晩は眠っていないんだ」


「まあ、本当に大変だったのね?」


「ああ、もうクタクタだ」



 レオンはアリエーテを膝に載せて、抱きしめる。



「レオン、お茶が飲めないわよ」


「このままで飲めばいい。俺はアリエーテ不足で干からびそうだ」



 モリーとメリーが微笑んでいる。



「レオン、恥ずかしいわ。モリーとメリーも見ているのよ」


「夫婦の仲がいいことは悪いことか?モリー?」


「いいえ、素晴らしいことでございます。私どもの事は置物か何かだと思ってくださいませ」


「な、アリエーテ、心配はいらない」



 アリエーテを抱いたまま、レオンは紅茶を飲み干した。



「アリエーテも飲みなさい」



 レオンがティーカップを魔術で目の前に浮かせている。


 それを受け取り、カップに口をつける。


 お茶は飲み頃で、アリエーテもすべて飲んでしまう。


 アリエーテからカップを受け取ると、魔術でテーブルに置いた。


 まったく魔術の無駄遣いだ。


 魔術の使えないアリエーテからしたら、カップくらい自分で置けるのに……と思ってしまう。



「さて、ひと眠りしてこよう」


「アンジュをお願いします」


「ごゆっくりお休みください」



 モリーとメリーは深く頭を下げた。


 アリエーテはレオンに抱き上げたままで、寝室に連れて行かれた。



「眠るのよね?」


「もちろん」



 ベッドにアリエーテを寝かせると、レオンはタキシードからガウンに着替えて、ベッドに入ってきた。


 そのまま抱き寄せられて、レオンは珍しくアリエーテより先に眠りに落ちた。



「お疲れだったのね?」



 アリエーテもレオンの腕の中で眠りに落ちた。 



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