第二章 美しい姫
第1話 1000年前
☆
およそ1000年前、レオンは美しい姫に出会った。
1000前は、人間界と魔界は繋がっていた。
アリエーテは、魔族の公爵家の令嬢だった。出会ったのは父が開いた舞踏会だった。
魔王が開いたダンスパーティーで、レオンは魔王の子で第二王子だった。魔界では魔力が高い者が生まれると世代交代が行われる。
魔王を継いだのは兄だった。魔力の力は同等だったが、先に生まれた兄に魔王の座を譲った。
兄は魔王になるときに伴侶となる娘に婚約の話を持ちかけた。話はトントン拍子に決まり、二人は結婚した。結婚と同時に魔王の交代を行われた。
レオンは気ままな魔族となり兄が娶った王妃の妹に恋をした。
アリエーテは美しく、魔族では珍しい青い瞳をしていた。素直で性格も穏やかで、心遣いのできる優しい女性だった。
レオンは兄が結婚したすぐ後に、アリエーテに求婚した。
アリエーテが13歳の誕生日迎えた日だ。
アリエーテはレオンの求婚を喜んで承諾した。
デートに誘えば、恥ずかしそうにレオンの後を付いてくる。手を繋ぐまでに1年かかり、キスをするのに、また1年かかった。それほど初々しい姫だった。
初めて見かけたのはアリエーテが12歳の頃だ。舞踏会会場で、彼女はいつも壁の花になっていた。いつも誰にも声をかけられたくないように、俯いていた。その瞳がレオンを追いかけていることに気付いていた。
先に見つけたのはレオンだが、話かけるきっかけが掴めなかった。
家族の顔合わせの時、初めてアリエーテに話かけた。アリエーテは、まだ12歳と幼かった。13歳の誕生日に求婚して、16歳になったら結婚しようと約束をした。
ままごとのようなデートでもレオンは、初々しいアリエーテを愛おしく思っていた。
まだ淑女として育ちきっていなかったアリエーテには、たくさんの家庭教師が付けられていた。
その中に、躾を教える男性教師がいた。
おとなしいアリエーテは、その男性教師を恐れていた。
手にはいつも棒を持ち、アリエーテがミスをおかす度に、掌を叩かれていたようだった。
アリエーテはレオンにその事を打ち明け、助けて欲しいと言った。
レオンはアリエーテの両親に、その家庭教師を外すように頼んだ。
程なくして、その家庭教師はアリエーテの先生ではなくなった。
ホッとした笑顔を見せたアリエーテに、レオンは安心した。
他の誰かに傷つけられるのは、どうしても我慢がならない。それも女性ではなく男性が傍にいるだけで、婚約者のレオンは、いつも気が気じゃなかった。
もし、襲われたら。
もし、犯されたら。
毎日、心配していた。
レオンは50歳だった。
魔族は寿命が長い。
魔王は永遠を生きるが、魔族は永遠の命はないが、それでも長寿だ。魔族の50歳はまだ大人とは認められない。周りからは子供扱いをされる年齢だった。13歳のアリエーテは、まだ幼子のような年齢だ。それでも、美しい容姿と慎ましい性格に恋をした。
アリエーテを護りながら、もうすぐ16歳になる前に、アリエーテは元家庭教師に胸を貫かれた。
魔族は多少の傷や病気では死なないが、心臓を貫かれ失血死を起こせば死んでしまう。
結婚の血の交換を済ませていなかったレオンに、アリエーテの危機は分からなかった。
レオンがアリエーテを迎えに行ったとき、アリエーテは既に息絶えていた。
アリエーテの胸を貫いた元教師も、自決していた。
元教師はレオンが案じていたように、アリエーテに恋をしていたらしい。
後から、家族に聞かせられた話では、家庭教師を辞めさせられてからも、何度もアリエーテを訪ねてきていたらしい。叶わない恋だと思いアリエーテを連れて心中したのだと知った。
美しい死に顔のアリエーテに、キスをして別れをした。
もっと早く気付いていれば、アリエーテを守ることができたかもしれない。
レオンはアリエーテの魂が転生するのを待った。
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