☘ 蒸気機関都市の没落令嬢 ~ 2000㍀で人狼医師に身請けされる ~
shiba
第1話 蒸気機関都市のリズベル Lisbel in the steam engine city
蒸気機関の煙が
「なんで料理の
「うぅ、すみません、少し注意が欠けて……」
「あぁッ? 俺の仕事を増やして言い訳すんな!!」
「ご、
怒っている相手に何を言っても無駄、
例え、お休みを貰えずに無給の残業を毎日させられて、寄宿舎に帰ったら深夜だとしても、抗議するのは賢くないと “飼い主” の怒鳴り声で学習させられた。
(合法的な契約を介してはいるけど、まるで
そう思っているのは十五歳の新人女給リズベルだけでなく、
空瓶のケースを裏口から外へ出して一息、脱力していると路地の奥に小さくて丸い、
「メエェ~~」
「実害は無さそうだけど……」
他人には見えておらず、誰かに喋ってしまえば薄気味悪がられる怪異の
「… もう、子供の妄想で済まされないよね」
必死に燃やしてないと大人達に訴えても “噓つき呼ばわり” され、酷く怒られた幼い頃のトラウマは消えてくれない。
少しだけ精霊の類が見えると夢物語風に
「リズ! いつまで油売ってんの!!」
「あ、はい、すぐ戻ります」
店内から聞こえた先輩女給の呼び声に応えて休憩を切り上げる。
後片付けを考えれば肉体労働より解放されるのは深夜の二時過ぎくらいかな? と、考えつつも笑顔の仮面を被り直した。
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