その167、取材をしよう(1)

「本が消えてたんだって」

 隣を歩くミカちゃんが言った。

 事の発端は、彼女が所属する放送部に届いたタレコミだった。ある日、近所の本屋の一角から本がごっそりなくなり、翌日にはまた元に戻っていたのだという。

 今はその真偽を確かめるため、取材へ向かうところだ。私は付き添い。取材は初めてだし緊張するから一緒に来て――と頼まれたのだ。

 ……いや、私も初めてなんだけど。けれど親友の頼みだ、無下にはできない。

「本の入れ替えをしてたんじゃない?」

 当然の疑問を口にするも、首を振るミカちゃん。

「元に戻った時、だいたい同じ本が並んでいたんだって」

 むう、それはたしかに妙かも。

 あれやこれやと話しているうちに、問題の本屋へ着いた。

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