その150、授業参観を受けよう(3)

 午前の授業はそわそわとした空気が漂っていた。

 担任ののりこ先生もどこか上の空で、何本もチョークを折っていた。

 給食時間。この後の昼休みに保護者がやってくる。最後の晩餐である。

「今年は平和に終わるかな?」

 春野菜のスープをすすりながら、ミカちゃんが言った。

「でも秘密結社結成したし、去年よりひどくなったり?」

「校長も一味だしね。学校占拠されちゃうかも」

 冗談ではなくありえそうなところが怖い。あ、この黒ごまチキンおいしい。

 と、窓際の男子が騒ぎ出した。何事かとぞろぞろとそちらへ集まっていく。

 さほど広くない校庭。その中央にずらりとスーツ姿が横並びに整列していた。

「お、お父さん……」

 時は早くも風雲急を告げていた。

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