その145、最終日(2)

 送られてきたのは一枚の写真だった。

 お城みたいな場所で、牧野と源がピースしている。

「え?」

 よく見ると、隅のテーブルで項垂れているのは校長だ。慰めるようにその肩に手を置くは鬼――もとい、牧野のお父さん。

 ……何があった?

 ピコーン。また写真。今度は牧野の隣に銀髪のダンディ。誰だこいつ。

 分からないことだらけだった。でも、確かなことがひとつある。

 こんな立派な写真に対して、虫の写真なんて送れるはずがない。 

 昆虫館の写真を呼び出す。せっかく撮ったのに。なんだかひどくみじめな気持ちになった。

 とりあえずは返事をしようと画面にタッチする。途端に流れる送信音。慌てて確認すると、トークルームにチョウトンボ。

 ……終わった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る