その148、授業参観を受けよう(1)

「いってきます」

「ほいさっさ」

 ひどく高揚した声が食い気味に返ってきた。

 父である。GW後しばらく大人しかったが、数日前から目を覆わんばかりのハイテンションが続いている。

「さっちゃん」

 くるり回ってびしっと私を指差し、父がにやり笑う。 

「あとでな」

 人を指差してはいけません――そう返してやろうかと思ったが、今は何を言っても無駄だ。私は無言で玄関を出た。

「どうしたの?」

 軒先で待っていたミカちゃんが心配そうに聞いてきた。どうやら随分としかめっ面になっていたらしい。

「……お父さんがテンション高くて」

「……ああ」

 ミカちゃんも顔を曇らせる。同志よ。

 GWの余韻を完膚なきまでにぶち壊すイベント。

 今日は、授業参観日だ。 

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