その91、クイズをしよう(7)

「ぐふ、よくぞ……よくぞこの父を倒した」

 芝居めいた口調だったが、その表情は悔しさに満ち満ちていた。そして語られる、10回クイズマスターだった少年時代。詳しいのはどうやら昔かららしい。なるほどどうでもいい。

「てか早口ことばはもっと得意だったし。それなら百パー勝ってたし」

 そうですか。

「じゃ、もうさっきみたいな質問やめてね」

「……はい」

 しゅんとする父を尻目に、私は自室に戻った。

 席につき、ふとスマホを取り出す。LINEをタップしかけて、指が止まった。

 ――わざわざ連絡することじゃない……かな?

 この前も余計なひと言で怒らせてしまったし。ちくり、と胸が痛む。

 しばしの逡巡の後、スマホを机に放って宿題を広げた。

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