その65、縁起を担ごう(2)
「カッコーもお参り?」
「べ、別に」
どこか決まり悪そうな顔で目を逸らすカッコー。怪しい。
「この神社って、どんなご利益があるんだっけ?」
水を向けてみると、途端に饒舌になった。
「ここは稲荷神社だから商売繁盛とか縁結びとか開運とか、何でもあり」
ほうほうなるほど。さっそくカマをかけてみる。
「で、縁結びに来たと」
「だ、誰が! また同じクラスにってだけ――」
春風が、二人の間をたおやかに過ぎた。遠くウグイスの声。
「……狐は稲荷神社の使いで、いなり寿司は縁起がいい食べ物なんだ」
いや、誤魔化すの下手だな。まあでも同志のよしみだ。これ以上は詮索すまい。
「とりあえず、一緒にお参りしよ」
返事を待たず、私は彼の手を取った。
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